組合の運営に関していろいろな意見もありますけれども、皆さん組合を大切に思っていただいておりますし、将来の心配をしていることの表れだと思うんですね。組合員の方々にはまずはいろんな活動に参加してもらいたいですね。支部の会に参加すると、それだけ仲間ができてくるし、仕事のやりとりもできる。顔を合わせて信頼関係を築いていってほしいですね。組合に入り、何十年も付き合ってきたので、商売をやめてもできれば組合の集まりに出たいんだけどという人もいるぐらいですから(笑)。そして後継者が働きたいと思える魅力ある仕事、誇れる仕事というような環境づくりもしていかないと…と思っています。後継者問題というのもいろいろあるんですが、後継者が決まった会社はやはり頑張っていますし、改革もしています。
組合の中でも、企業同士でコラボレーションをとっているところもありますしね。コラボをせざるを得なくてコラボしているところも多いですが、そういうことも生き残るための戦略ですからね。
実態を見れば将来への悲観論が強いけれど、じゃあ全部悲観論なのかというとそうではないはずです。きちんと利益を出している企業、小さくたってちゃんと選ばれる会社はあるわけです。各社の経営者や社員の経営努力があるわけですよ。元気のある会社を紹介する活動もしていきたいと思っています。
東京は書籍と雑誌の部会が今度一緒になりました。全国区でもそういう組織にしたいと考えています。今まで東京でばかりでやっていたいろいろな集まりも、今年は中間地点の名古屋で開催することに決定致しました。全国の組織なども、東京工組副理事長や副会長がかなりいたのですが、半分以下に減らしたり。理事会の開催時間なども役員の皆さまの意見を尊重し、変えることに致しました。皆さんにもどんどん意見を出して欲しいといっているのです。変えていかなければと思っていますし、組合員のためにやれることは、何でもやっていかないと、と考えています。やはり団体は団体のよさがありますからね。
製本+シナジーの委員会だけではなくて、若い人が新しい製品や技術を世に出すとか、彼らが育つような、企業・産業にしていかないといけない。いろいろな異業種と連携したり、情報をどんどん発信していきたいですね。シナジー委員会にはそういったところも期待しています。
今後の製本業は、設備と人に投資して、ハイスピードで大量処理していくビジネススタイルと、小さくてもその会社にしかないノウハウやサービス、技術を提供するソリューション付加価値型というビジネススタイル。基本的にはどちらかの形になって、独自性をさらに加えていくというのが、製本業の生き残りの形ではないかと考えています。
付加価値の高い技術は、それを知っていただくということが必要ですよね。いくら素晴らしい技術があっても知られないことには話になりません。こんなことができるんだというような情報発信をしていく必要があります。そういうことを小さい会社が一社でやるのは難しい。そこで登場するのが2011年9月に開設した製本のポータルサイト「製本のひきだし」ですよ。製本のひきだしを通して、発想力のある方々に私たちの技術を知ってもらう。われわれには「実現力」があります。やはり、そういうものを取り入れて経営に生かしていく、というのが、本当にこれから大事になっていくでしょうね。
--いろいろ厳しさもあるけれど、やはり上手な残り方がちゃんとあるということなのでしょうね。あとは組合の存在感ということですか。新しい時代に合った存在感が必要なのでしょうね、組合でないとできないことはたくさんあるということですね。
そうですね。組合を上手く使ってほしいと思います。公取の問題とか取引慣行の改善など、数多くのテーマに上がっているんですよ。お金が絡むことというのは、個々の会社単独でなかなかできないですものね。組合で指針をつくって、上手に活用できるようにするのは大事なことですし、役目だと思っています。
まだまだ理事長として始まったばかりですが、組合員の皆さんの希望・要望を聞いて、製本業の活性化のためにいろいろなことをやっていきたいと思います。そのためにも組合員の皆様にもどんどん発言をしてもらいたいですね。皆様のお知恵をお借りしながらこれまでにこだわらない新しい形を作っていきたいと思っています。ぜひ期待してください。