製本お役立ち便利帳

「中綴じ製本」は何ページまで可能ですか?

中綴じの最大の弱点は厚い本を綴じることができないことです。この他に背の部分がはっきりできてこないので背に印刷ができないこと、また中心にいくほどページの“せり出し”がある、さらに背の部分が断裁時に“ささくれる”、表紙が弱く抜け落ちやすいなどの弱点があります。これらの弱点を踏まえてどの程度の厚さまで可能かに対しては、三つの観点から考えなければなりません。

1. 針金が確実に綴じることができる厚さ

針金が太くなれば、また紙が軟らかくなれば綴じる厚さは厚くなります。通常の中綴じは針金の太さ#25を使用しますが、#21の太い針金を使用すれば「厚さ15㎜」まで綴じることができます。ただし、針金が太いと多少体裁が悪くなりますし、紙を貫通しにくくなるので針金の太さにも限界があります。

2.せり出しによる不体裁

中綴じ本は厚くなるほど、中心にいくほどページのせり出しが多くなります。それによって中ページの左右寸法が短くなり、小口部とノド部の余白が狭まり体裁が悪くなります。

3.鞍数の制限

ページ数の多い印刷物を扱う出版用中綴じ機の場合、鞍数(丁合い機の駒数)は20鞍が最大で、これ以上鞍数の多い中綴じ機はほとんどありません。これは中綴じの原理に基づく制約ではなく、製本業界の実体(設備面)による限界です。1鞍16ページと仮定すると320ページが限界になります。

厚い本を中綴じ製本するにはそれなりのノウハウが必要ですので、事前に可能な製本所を調べておくとよいでしょう。