製本用語集

むせんとじ (無線綴じ)perfect binding/adhesive binding

針金や糸等の綴じ材料を用いずに、接着剤により折丁・ペラ帳等の背をすべて一体に接合し、表紙も中本の背に塗布された接着剤の効果で中本と接合される製本方式。丁合された折丁は、一冊ずつ立ち上がり装置を経由してジョガーで突き揃えられた後、無線とじ機(バインダー)のクランプの中に入って、しっかり把持されたまま、この後の背加工を次々にほどこされる。ミリングステーションでは背が3~4mm切り落とされ、次のラフニング装置ではサンディングヘッドにより背の紙繊維をケバ立たせて、さらにノッチングヘッドによりガリを入れる。この後塗布される接着剤の浸透を助長し接着剤の付着面積を増大して接着力を高めるためである。グルーステーションに移動し、通常2個の回転ローラー(糊ローラー)によりホットメルト接着剤が塗布され、逆回転スピナーが糊の厚み(塗布量)を調整する。背加工は以上で完了し、背に接着剤を塗布されて中本はクランプにしっかり把持されたまま表紙が背に合わせられるステーションへ移動する。表紙が貼付されるまでの間に、ホットメルトは紙繊維の間に浸透し急速に接着効果を増大して中本の接合(背の一体化)が進行する。カバーフィーダーから表紙が中本の到着にタイミングを合わせて給紙され、背に塗布されたホットメルトのオープンタイム内なので表紙は中本の背に貼付される。次いでカバープレスステーションでは、背側(下から上へ)と背の左右両横(両側から真ん中へ締める)から強圧をかけ表紙と中本の接着を完全にし、背の形成を整える。この後クランプが開放され、本はデリバリーチャンネルを通過して、レダウン装置でコンベア上に寝かされ、三方断裁機へ搬送される。化粧立ちされて本は完成する。 アジロとじは、無線とじの一種。折丁製作の時点であらかじめ折り目にアジロ穴が明けられていて、ホットメルトが中本の背に塗布されるとアジロ穴にゾル状のホットメルトが入り込み、折丁同志の接合が一段としっかりする。「アジロ無線」とも呼ぶ。無線とじと同じバインダーでアジロ無線をつくることができる。背加工のうち、背を切り落とすミリング工程が不要等、機械調整に若干の違いがある。 いずれも糸かがりした本に近い見開きの良さが得られ、1時間当たり3000冊のレベルのものから12,000冊/時の高速製本もできる。超高速では毎時40,000冊の機種も発表されている。作業性も優れ、低速ラインは丁合から三方断裁機の取り口まで2人で操作できる。高速ラインは省力化・省人化するための関連機器が多数開発されている。
メーカー 伊藤ブックマシーン(株)、東京出版機械(株)、(株)西岡製作所、ハイデルベルグPMT(株)、ピービーエム(株)、(株)ホリゾン、ミューラーマルティニジャパン(株)、芳野マシナリー(株)