ひょうしくるみ (表紙くるみ)casing-in
上製本における「くるみ」に限定して以下に説明する。背固めした中身を別に仕立てた表紙でくるみ、外側のノドぎわにイチョウの刃先を強く押し当てて表紙と中身を接合させる。タイトバック、フレキシブルバック、ホローバックの3様式がある。
<タイトルバック>
中身の背に表紙の背紙に厚紙を貼って固くのりづけしてくるんだもの。表紙の背に中身が接着された形から丈夫ではあるが開き具合は固い。表紙の開閉によって形が崩れることはない。
<フレキシブルバック>
中身の背に薄紙を貼って表紙の背に直接に密着させた様式。開くと中身と表紙の背が一緒に曲がるから、表紙の背文字などが傷みやすい欠点もある。
<ホローバック>
一般的に行われているくるみ方。本を開くと背は表紙と離れているので、ノドいっぱいに開く。開閉が容易であり機能的に優れた様式である。くるみ方には2方式がある。表紙の溝(みぞ)に接着剤を引いて背固めのときに貼った寒冷紗の端をみぞに密着させる溝入れ方式と、②表紙の背紙の部分に中身の背幅と同じ幅に貼ったクータを貼り、中身とクータの間に接着剤を引いてくるむ方式がある。大型の本や束が40mm以上の溝入れ方式、または革表紙を用いた突きつけ表紙をくるむ際クータを背に貼って中身と表紙を接合させるくるみ方式がある。クータはクラフト紙でつくった円筒。