製本用語集

せっちゃくざい (接着剤)adhesive

固体の貼り合わせに用いられる物質。流動性があって固体表面をよく濡らし、固化することによって接着する。分子間の接着力(投錨効果)が本質とされている。製本加工に使われる接着剤には、植物系の澱粉糊・動物の皮や骨から精製した膠(にかわ)・合成樹脂型接着剤などがある。接着効果を得るためには適当な銘柄・品質を選ぶ必要がある。

  1. <何と何を接着させるか>
    本を構成する紙質の種別。
  2. <部分接着か広い範囲の接着か>
    部分接着とは、別丁の貼り込み・仮(並)製本の表紙のくるみ・背固め等。広い範囲の接着とは、表紙貼り加工・見返しの糊入れ・絵本の合紙・函の貼り紙等。
  3. <接着後の条件>
    本文の接着部分の引っ張り強度・表紙の剥離度・引き裂き強さ・紙むけ・表紙の反り(オーピング)・表紙の表面に発生する「かび」の予測・見返し糊入れ後のノド際寒冷紗部分のブロッキング現象・溶剤によるシミの発生等々。ホットメルト型接着剤は引っ張りや剪断には強いが、剥離や引き裂きには弱い傾向にある。水溶性接着剤は、自然環境に敏感に反応するので、梅雨時の湿度の高い季節には、用紙の種類によっては本がウェーブ状(波形)に変形することがある。アート系の本文用紙の見返しに糊入れする場合は広い面積に塗布するため水分がその部分に長く滞留して、ウェーブ状のしわが出ることがある。合成系接着剤は、天然系と比較すると品質の安定背、作業性、接着強度が非常に優れているので工業用途に広く用いられている。天然系接着剤は、原料から来る不安要因、耐水・耐湿性が低く腐敗しやすい欠点があるが、木・紙に対して優れた接着性を示すので紙加工、木材加工、包装等では膠・澱粉・デキストリン等が多く使用されている。製本用として、合成樹脂ではホットメルト接着剤・酢ビエマルジョン、天然系では膠・澱粉糊が使われる。