製本用語集

つぎみかえし (継ぎ見返し)open joint endpaper/stripped endpaper

貼り見返しや巻き見返しでは、いずれも用紙を二つ折りして作られるが、継ぎ見返しでは4ページ大の見返し用紙を二つ割りし、見返しと遊び紙に分離して用いる方法である。 継ぎ見返しには3種類の作り方がある。

  1. のど布付き見返し主として、みぞ付き上製本を対象とした見返しで、切り離した2枚の用紙を26mm幅の布テープの両端に図のように繁いでから二つ折りし、布の部分を巻頭と巻末の折りの部分に貼り付け、あとは貼り見返しと同じ工程で仕上げる。継ぎ見返しの作り方は
    1. のど布となる、裏打ちした生地を用意し、これを折り丁の天地寸法に合わせて大裁ちした後、これを26mm幅の短冊状に小裁ちする。
    2. 二つ折りした見返し用紙を適当な数を用意して、これを2.5mm~3mm幅に均等に繰りだして濃い目の糊(澱粉糊)を繰り出した部分に塗布する。
    3. 繰り出して糊つけした用紙を両手に持ち、軽く0.3mm位を繰り出して糊付けした部分を離し正面手前に置く。
    4. 短冊に切ったのど布を1枚ずつ取り、糊付けした部分に貼って繁ぐ。5)一通り貼り終わった後、反対側に同じ要領で貼る。この場合、紙と紙の間を18mmの間隔で定め貼りする。
    5. 貼り終えた見返しを二つ折りする場合、18mmの間隔にある布幅を約7対3の割合で二つ折りし、布幅の狭いほうを折丁の側に貼り込む。
  2. <額貼り用継ぎ見返し-その1>
    革表紙などで装丁する高級な上製本の突き付け表紙に用いる見返しの作り方。対象となる製本の種類には、特別製本の社史、年史、学術図書などの他、高級絵画集などに用いられる。また、図書館などに保存されている高級図書の修復などにも採用される。見返しに使われる用紙にも、マーブル紙や和紙などの特殊な材料を用いる場合もあり、のど際に使われる力貼りの材料にも、布クロス、吟革(羊の表皮)などを用い、表装材料にも羊革・子牛革などを用いる場合もある。表装材料とのど貼り材料は同質・同色の物を用いることが原則で特に革を染色する場合には同時に、染色し、別々に染色することは避ける。布地を用いる場合には、配色(色の組み合わせ)に注意して用いる。額貼り見返しは次のような方法で行う。
    1. 表紙の色と同色の裏打ちした布地または、吟革を選び、見返しの天地に合わせた寸法に裁つ。革の場合は別に仕立てる。
    2. 大裁ちした布地を幅40mmの短冊状に小裁ちして、見返し側に捨て紙を1枚貼りして繁いでおく。
    3. 見返しの遊び紙を折り丁の巻頭または巻末に貼り込みしておき、その上に布地の表面を下(内側)にしてはる(糊代は3mm)。
    4. 布を貼り終えた折り丁を4ページ大に広げ、貼った布の上から糸ミシンを掛けて縫う。この場合の運針の幅は5mm位を原則とし、縫い代は折りの中心から5mm幅の線に添って縫う。
    5. 塗ったあと、広げた折りを元通りにたたみ、布側のノド際に4mm幅(ミシン糸目)に糊づけして、布地を背の方に返してノド際に接着させる。この場合ミシンの糸目がのぞかないように、真っ直ぐに折りかえす(布地の表側がでる)。
    6. 糊の乾きをまって、折り返して貼った布地を、折りの背に添って小口側に折り返すとZ折りの状態になる。そのあと重しを載せて折り目を落ち着かせる。この場合、折り返した布の折り目が、折り丁の背からはみ出さないように注意する。
  3. <額貼り用継ぎ見返し-その2>
    ノド貼りに吟革を用いた場合の作り方は、基本的には前述(その1)と同じ手順で行われるが、採用される見返し用紙に、和紙・マーブル紙などの薄紙が採用された場合、特別に工夫を凝らした作り方が要求される。
    [作り方、その1]
    1. 本文の中身を、巻頭・巻末に捨て紙を貼って仮固めし、乾燥をまって天地を仕上げ寸法に裁ち小口寸法は2mmほど伸ばして仮裁ちする。
    2. ノド貼りする吟革の天地を12mmほどのばし、幅を40mmの短冊状に裁って用意する。
    3. 台紙となる見返しの遊び紙を本の中身と同じ寸法に裁ち、マーブル紙は少し大きめに裁って用意する。
    4. 台紙の左右を3mm程度繰り出して糊付けした後、短冊にした吟革の表側を下にして、天地に6mmずつの折り返し部分を残して貼る。
    5. 乾燥を待って、吟革の両端を台紙にそって鍵の字形に鋏を入れて切った後、ノド際の部分に糊を付け、吟革を表に折り返す。
    6. 台紙の表側に薄糊を引くと同時に、マーブル紙の裏面に濃い目の糊を引き、折り返した吟革の線に添って貼り、平面プレスして貼り合わせる。
    7. 貼り合わせた紙の乾燥を待って、両サイド(天地の)にはみ出したマーブル紙を削ぎ取りする。吟革の折り返し部分に糊を付けて、紙の裁ち線添って真っ直ぐに折り返す。
    8. 折り返しの乾燥を待って、吟革の背の部分を揃えて再びZ折りに折り返した後、捨て紙を貼って次の工程に回す。
  4. <表紙の額貼り>
    1. 表紙貼り加工の済んだ表紙の背空き部分にクータを貼った後、そのクータ部分に糊を引き、本固めの済んだ中身を表紙つけする。
    2. 背の乾燥を待って捨て紙を剥ぎとり、表紙を開いてノド革の外側に接着剤(ボンドまたは姫糊)をつけ、表紙のみぞと板紙の部分に擦り込みながら貼り、板紙に貼られた部分を10mm幅の線を直角に切り取る。
    3. 表紙の裏面の高低差を無くするために地券紙を用いて、表紙の折り返し部分の内側に添って額貼りする。この場合、地券紙は直角に切り取った革の切り口に添って貼り、プレスして圧着させる。
    4. 額貼りする見返し用紙を本文の仕上がり寸法より少し小さめに裁ち、額貼りしたあとに、本文の中身の外にはみ出さないように貼りプレスして仕上げる。これ等の工程は表裏それぞれ交互に作業する。