富士フイルムHDの100%子会社に

OEM供給の拡大や自由な技術提携に期待

 富士フイルムホールディングス(富士フイルムHD)は、11月下旬、富士ゼロックスを完全子会社化することを発表した。米国・ゼロックスコーポレーション(ゼロックス)から、富士ゼロックスの株式25%を22億ドルで取得し、合わせて、欧米でレーザープリンターなどのOEM供給を行うゼロックスと富士ゼロックスの合弁事業「Xerox International Partners」の持ち分及びOEM権も1億米ドルで取得した。
 富士ゼロックスはこれにより欧米をはじめ、ワールドワイドでゼロックス以外へのOEM供給を拡大させる意向。ゼロックスに対しては、中長期的に製品供給を継続し、ゼロックスへの買収合意破棄に伴う損害賠償請求は取り下げることも合意した。
 この間の動きとして、富士フイルムHDは2018年1月、ゼロックスを買収し、ゼロックスと富士ゼロックスの経営統合を目指すと発表していた。しかし、ゼロックス買収に反対して株主が買収差し止めを求めて提訴するという動きがあり、米国の裁判所から買収一時差し止めの判決が下され、株主総会で新たに選任されたゼロックス経営陣が買収契約破棄を表明した。このゼロックスの契約破棄に伴い、富士フイルムHDは損害賠償請求を提起していた。
 11月5日に行った記者発表会で富士フイルムHDの古森重隆会長・CEOは、将来的なゼロックスとの経営統合を否定。純利益の100%計上やワールドワイドでの製品供給など富士ゼロックスの完全子会社化のメリットを強調している。米国のゼロックスとは技術契約は残っているため技術的な連携は可能。富士フイルムHDの完全子会社となったことで、「以前は(ゼロックスからの)制約が多かった。これからは従来よりも自由に技術提携などができる」(真茅取締役)と語っている。

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