台風15号直撃で大規模停電
インフラストップでBCP見直しへ
9月9日、三浦半島から東京湾に抜けて千葉市付近に上陸し、各地に甚大な被害をもたらした台風15号。今回は一時、千葉県、神奈川県合わせて約93万戸が停電した。復旧までに約2週間がかかったのは、被害状況の把握の遅れが指摘されている。また停電に関しては、倒木による物理的な被害が原因となったこともあり、木の撤去作業から始めなければならなかった。停電の影響は大きく、生活家電はもちろん、電話も不通になった。
国土交通省発表の災害情報(9月24日時点)によると、瞬間風速では、東京都神津島村が最大で、島しょ部でも強風による被害が出ている。また、がけ崩れの最多は神奈川県で31件におよぶ。今回の台風による停電が長引いたため、そちらに情報がフォーカスされているが、沿岸部の浸水被害や建屋の破損も多数報告されている。
印刷業界でも千葉の印刷団地が被災し、2日から3日ほど停電のため、操業停止になったという。その埋め合わせをするため、再開からフル稼働し、休日返上で仕事を処理した企業もあった。メーカーの中には倉庫の昇降エレベーターが浸水で故障し、資材を取り出せなくなるといった事態も起きた企業もあったと聞く。
東日本大震災の教訓からBCP(事業継続計画)の策定が推進されているが、帝国データバンクが6月に発表した「BCPに対する企業の意識調査」によると、「策定している」と回答した企業は15.0%に留まった。BCPを策定していた企業でもインフラの完全停止は想定外だったという声も聞く。
ほとんどの地域は数日で操業を再開できたが、今後も自然災害はいつどこで起きてもおかしくない。早期復旧が出来るかどうかは日頃の備えが重要になる。すでにBCPを策定している企業は今回の被災情報から改めて自社のBCPを見直すことが望まれる。