一般郵便物の土曜配達廃止へ
深刻な人手不足、需要の減少で
総務省の情報通信審議会郵便局活性化委員会は8月6日、一般郵便物の土曜配達を容認する報告書『少子高齢化、人口減少社会等における郵便局の役割と利用者目線に立った郵便局の利便性向上策~郵便サービスのあり方に関する検討~』を取りまとめた。
郵便物の取り扱い通数は2017年度に約172億通と、ピークとなった2001年度の約262億通から比べて3割以上減少している。インターネットの普及による電子メールやSNSの活用が広がった影響と見られている。一方、日本の有効求人倍率は2010年度以降上昇傾向にあり、とくに運輸・郵便事務の有効求人倍率(2018年6月)は平均の1.62倍に比べ、3.90倍と高い水準にある。少子化による生産労働人口の減少は将来的に続くと見られ、今後、人手不足の劇的な改善が見込めそうもない。年末年始の業務繁忙期はなおさら人手不足が深刻化することが考えられる。
日本郵便ではそうした背景を踏まえ、①配達精度の見直し(土曜日配達の休止)、②送達日数(原則3日間以内)の見直し(翌日配達の廃止)を要望。同委員会では各国の郵便サービスの現状との比較や、大口需要者である生命保険、クレジット、新聞の各業界のヒアリングを受けて容認する形になった。郵便法及び日本郵便株式会社法で日本郵便に対して郵便サービスの提供を義務付けており、総務省では情報通信審議会を答申から、秋の臨時国会での法改正を目指すという。早ければ来年の秋から土曜配達の廃止や、送達日数の見直しが行われる。
郵便サービスは毎日配達や翌日配達などのその利便性から利用が広がってきたが、情報伝達手段の多様化からサービス縮小が余儀なくされる。仮に利便性が失われると、郵便物の減少に拍車をかけることになり、DMなどの需要にも影響が出てくるかもしれない。