文教堂が事業再生ADRを正式申請

2018年8月期には約2億3,000万円の債務超過

 書店チェーンの文教堂グループホールディングスは、私的整理の一種である事業再生ADRの利用を申請し、受理されたと発表した。また、事業再生実務家協会と同社らとの連名で、取引先の金融機関に対し、「一時停止の通知書(借入金元本の返済一時停止等)」を送付している。理由については、「ネット通販やデジタルコンテンツの普及により書籍の市場規模は縮小傾向が続いていたため」としている。
 2020年8月末までに債務超過を解消する再生計画を策定し、ADR手続きで再生計画を成立した場合は、1年間の猶予期間が認められ、上場が維持される。期間内に債務超過の状態が解消されない場合、上場廃止となる。
 同社の事業環境は、ネット通販やデジタルコンテンツの普及により、書籍の市場規模は縮小傾向が続き、厳しい状況が続いていた。そこで、店舗リニューアルや販売強化策、アニメ事業の展開など、一定の経営改善策を実行していた。また、これまでにも資本の強化策を打ち出してきた。2010年には大日本印刷(DNP)を引受先とする第三者割当増資を実施し、その後、DNPの連結子会社となった。しかしDNPが出版取次の日販に株式の一部を売却したこともあり、文教堂の経営に関して抜本的な改善にはつながらなかった。
 こうして2013年8月期以降、赤字が続き、2018年8月期には約2億3,000万円の債務超過に陥った。これを受けて、東京証券取引所は、上場廃止に係る猶予期間入りの指定を出した。
 同社は今後、これまでどおり事業活動を行いながら、公正かつ中立的な立場で事業再生実務家協会から調査・指導・助言を受け、取引先の金融機関と事業再生計画案の成立に向けて協議を行う。事業再生計画案の内容などは、確定次第発表するとしている。

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