物流費高騰の影響が広がる
値上げ、通販サイト閉鎖など
物流費の高騰による影響が企業経営に影響を及ぼし始めている。
住友ゴム工業は6月21日、物流費の高騰から国内市販用タイヤのメーカー出荷価格を平均3%値上げすると発表。コクヨも同日、オフィス家具製品等の物流費を20~30%値上げする。日本加工食品卸協会の調査では2018年度の常温加工食品1ケース当たりの卸物流費が前年度比で7.1%増加しており、様々な業種で物流費が押し上げられている。
日本ロジスティクスシステム協会によると、2018年度の売上高物流コスト比率は4.95%で、前年比0.29ポイント上昇した。同協会が実施した2018年7月から2019年2月にかけてのアンケート調査では、値上げ要請の有無について回答企業224社のうち197社が「値上げ要請を受けた」と回答した。
ヤマト運輸の運送単価は2017年の574円から2019年に702円に上昇。2020年には720円になると予想されている。佐川急便の運送単価も2017年の511円から2019年に613円に上がり、2020年に636円になる見込み。人手不足を背景にした運送費の値上げはまだまだ続きそうだ。
物流費の高騰はとくに売上高物流コスト比率の高い業種に影響する。通販企業の売上高物流コスト比率は12%程度。これが消費者に転嫁されていけば、実店舗に比べて“安さ”という強みが徐々に失われ、これまで通りの成長軌道が描けるかわからない。食品のネット販売業のドゥマンは、物流コストの上昇を理由に通販サイトを閉鎖した。
印刷・出版業の売上高物流コスト比率は10%超で製造業の中で最も高い。昨今の多品種・小ロット化は物流費の比率を上げる要因といえ、件数が増えるにつれて負担が大きくなっていく。
用紙の値上げも大きい負担だが、物流費の高騰にも目を配る必要が出てきている。