出版市場の低迷で雑誌、書籍は3社ともに減少傾向
電子書籍はコミック中心で順調に推移
印刷会社大手3社が2019年3月期の決算短信を発表した。
大日本印刷の連結経営業績は、売上高が前年同月比0.8%減の1兆4,015億5百万円、営業利益が同7.6%増の498億98百万円、経常利益が14.3%増の582億59百万円だった。
出版関連事業は、書店の需要予測をAIで分析するなど、出版業界の課題解決に取り組んだが、出版メディア関連の売上高は書籍、雑誌とも減少。一方、教育・出版流通関連では、書店とネット通販、電子書籍販売を連動させた事業で電子書籍が順調に推移した。また、図書館運営業務で大型図書館の新規受託もあり、増収となった。
凸版印刷の連結経営業績は、売上高が同0.8%増の1兆4,647億55百万円、営業利益が同12.5%減の457億43百万円、経常利益が10.1%減の491億30百万円だった。
一般商業印刷物は、米国の総合ファイナンス印刷会社の一部事業を買収した影響で増加したが、出版市場の低迷が続き、雑誌を中心に前年を下回った。ビジネスフォーム関連は、電子化に伴う需要量の減少などにより落ち込んだ。
共同印刷の連結経営業績は、売上高が同2.8%増の977億82百万円、営業利益が同40.5%減の10億27百万円、経常利益が33.9%減の17億48百万円だった。
出版印刷では、マンガを中心としたコンテンツのデジタル展開を推進するとともに、デジタル印刷機を活用した小ロット印刷の提案により教育分野等での受注拡大に取り組んだ。コミックの電子配信は増加したが、出版市場の縮小の影響で定期刊行物と書籍がともに減少し、売上高は前期を下回った。
一般商業印刷は、プロモーション分野での受注拡大に注力した結果、カタログや情報誌などは減少したが、POPなど店頭プロモーション関連の受注が拡大し、ノベルティも増加した。