人手不足倒産が前年比40%増
人材確保で賃上げも
帝国データバンクの調査によると2018年上半期(2018年4~9月)の「人手不足倒産」は76件発生し、負債総額が110億4,200万円にのぼる。件数は前年同期比40.7%の大幅増となり、2年連続で前年同期を上回った。調査開始以降、半期ベースの最多を更新し、年度通期で初めて100件を超えた2017年度(114件)を上回るペースで発生している。
負債規模別件数を見ると、「1億円未満」が45件と過半を占め、前年同期(22件)の2倍に、業種別件数では、「サービス業」が前年同期比73.3%の増加で、最多の26件を占めた。
企業の事業継続に人手は欠かせないが、少子化による将来的な生産労働人口の減少は避けられない状況となっている。すでに人手不足は大手、中小といった事業規模に関係なく起きており、限られた人材を確保すべく働き方改革やダイバーシティ経営などに注目が集まっている。
また、政府の成長戦略に掲げる最低賃金の引き上げは景気対策の一面、人材確保に奔走する中小企業にとって人件費上昇による収益の悪化も懸念される。
帝国データバンクの「最低賃金改定に関する企業の意識調査」によると、最低賃金の改定を受けて自社の給与体系を「見直した(検討している)」企業は44.0%と2016年9月時点と比較して、「見直した」企業の割合が9.0ポイント増加。採用時で最も低い時給は約975円と最低賃金の全体平均874円より101円高くなっている。賃上げの動きは、少しでも条件を良くして人材を確保しようとする企業努力がうかがえる。
人手不足を解消するために、高い賃金で人を雇い、それが収益を圧迫して利益が出せないという事態にならないよう、限られた人員で適正な利益を得られる収益構造を確立することが求められる。