マーケティングオートメーション市場300億円超

次の新たなサービス市場として注目高まる

 大手企業を中心にマーケティングオートメーション(MA)を支援するサービスが加速している。印刷業界においても、大日本印刷や凸版印刷など、自社内ですでにMAを展開している企業が、そのノウハウをサービス化して提供する動きが出てきている。  こうした動きの背景にはMA市場の成長への期待がある。矢野経済研究所の調査では、2022年までにMAツールの市場規模は年平均12%で成長し、約530億円に、MAサービス市場規模も2017年には前年比23%増の301億9,000万円に達することが見込まれている。
 また、災害などに対する自治体などの配慮は今後、さらに必須となる。9月に発生した北海道胆振東部地震の際、ある札幌の印刷会社では、顧客から震災から2日後に、納期通りの納品を催促されたという話もある。印刷はすでに終えていたので、事なきを得たが状況による配慮が発注者側にも求められなければならない。
 前年度の官公需実績は、7兆4,951億円。うち中小企業・小規模事業者向け契約金額は、3兆8,251億円と契約比率51.0%だった。なお、新年度は総額7兆3,110億円を目標に掲げている(うち中小企業・小規模事業者向け契約金額は、4兆294億円で、契約比率55.1%)。
 一方、この数年、大手印刷会社を中心に新たな分野として注目されてきたBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場の成長が鈍化しつつある。そのため、次の新しい市場として注目されているとも考えられる。
 大手印刷業のMA関連サービスをみると、大日本印刷ではマーケティングオートメーション・ツールの運用支援・代行サービスを開始した。企画・設計の得意なマーケティングエンジニアとMAツール専門オペレーターが、MAツールの運用を支援・代行するというもの。これにより企業のMAに関する教育コストや業務負荷の軽減が図られるとしている。一方、凸版印刷では、MAと連動した「DM自動発送サービス」をスタート。MAツールとオンデマンド印刷工程を連携させたもので、情報の取得からDM印刷工程まで自動化し、最短12時間で顧客にDMを発送することができるという。
 いずれも、MAを進めるにあたり課題とされている知識不足やスキルの未熟さと、それに伴う業務負荷の増加を解決するサービスとして登場している。デジタルチャネルが主流となり、多様化が進み、One to Oneマーケティングが注目されているといった社会情勢がMA市場を押し上げている。

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