平成30年度官公需取引の基本方針決まる
働き方や災害被災企業への配慮求める
政府は9月7日、官公需取引における「平成30年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」を閣議決定した。今回も著作権等の知的財産権への配慮と明記するよう一文が記されている。
そもそも同基本方針は、官公需における中小企業・小規模事業者向けの契約比率や、新規中小企業者(創業10年未満の中小企業・小規模事業者)を含めた中小企業・小規模事業者の受注機会の増大のための措置事項を定めている。
この方針をもとに各地方自治体は、中小企業との取引を行っているため、中小企業にとって重要な方針となる。
知的財産権の配慮については、昨年の基本方針で大きく一歩前進している。今回新たに追加されたのは、①「働き方改革」に対応する取り組み、②平成30年7月豪雨に対する対応などが挙げられる。「働き方改革」に対応する取り組みとしては、長時間労働是正のための発注時期の平準化や、実態把握、相談体制の活用、地方公共団体との連携を進めることなどが盛り込まれている。政府の進める働き方改革に対し、官公需からの是正を促す考えだ。
また、災害などに対する自治体などの配慮は今後、さらに必須となる。9月に発生した北海道胆振東部地震の際、ある札幌の印刷会社では、顧客から震災から2日後に、納期通りの納品を催促されたという話もある。印刷はすでに終えていたので、事なきを得たが状況による配慮が発注者側にも求められなければならない。
前年度の官公需実績は、7兆4,951億円。うち中小企業・小規模事業者向け契約金額は、3兆8,251億円と契約比率51.0%だった。なお、新年度は総額7兆3,110億円を目標に掲げている(うち中小企業・小規模事業者向け契約金額は、4兆294億円で、契約比率55.1%)。