AIが高校野球の戦評記事を即時作成
スポーツジャーナリズムに本格的に参入か
株式会社朝日新聞社は、AI記者「おーとりぃ」を開発し、第100回全国高校野球選手権記念大会の3回戦から本格的に運用している。「おーとりぃ」は、スコアブックの情報を得ることで、勝敗を分けたポイントを理解し、戦評記事を素早く作成する。
朝日新聞社内の様々なシステムを構築する情報技術本部の研究開発チーム(ICTRAD)は「おーとりぃ」を開発するにあたり、まず、過去のスポーツ面、地域面に載った約8万の高校野球の戦評記事とイニングを組み合わせたデータをAI(人工知能)に読み込ませた。それをベースにゲーム展開による戦評の傾向をAIに分析させ、学習させることで記事を書けるようにしていった。
実際に運用する際には、甲子園球場のスポーツ記者がパソコンで電子スコアブックを入力。これを「おーとりぃ」が読み込み、試合の特徴の中から目立ったプレーを選び出し、その組み合わせに見合った文章を作り出す。一球一球に注目しているので、「初球を~」や「フルカウントから~」といった表現ができる。チームの戦績を記録し、そのデータに対応することで、「今大会初の」や「2試合連続の」といった表描写も可能になっているという。
しかし、実際のプレーは見ていないので、ファインプレーや特大ホームラン、などの表現はできない。勝ち越しのシーンにこだわるよう学習させているため、一番盛り上がったシーンを外すこともある。開発リーダーの弁によると「記者に少しでも近づき、地方大会を含めた全試合の分かりやすい速報戦評を届けたい」としている。
世界においても屈指の規模を誇る米AP通信は、2016年からマイナーリーグの試合要約を自動記事作成システムで配信している。AI記者は、スポーツジャーナリズムに本格的に参入しつつある。