求人難はバブル期なみに
勤務時間の柔軟化など職場整備を
先ごろ中小企業庁が発表した『中小企業白書』では、中小企業の全ての業種で2009年をピークに総じて人手不足の方向に転じ、とくに建設業やサービス業といった業種において人手不足感が顕著に表れていると指摘している。
白書では日本政策金融公庫の『全国中小企業動向調査』により把握された中小企業の経営上の問題点を示している。調査によると「求人難」を挙げた企業の割合が、ここ数年で増加の一途をたどっており、80年代後半から90年代初頭の景気拡大期に迫る水準となっていると指摘。高校卒業者の充足率の推移は、5年間でいずれの規模の企業でも減少傾向にあり、従業員が29人以下の企業の充足率の減少が著しく、足下の求人数の5分の1程度。大卒予定者求人数及び就職希望者数は、従業員299人以下の企業で求人倍率が約3~4倍で推移してきたが、足下では上昇傾向にあり、2017年度は6.4倍に大きく跳ね上がったとしている。
中小企業が求める人材は高い専門性や技能等だが、中小企業は中核人材に比べて、労働人材の不足感が相対的に強いことを指摘。こうした労働人材不足に対して、各企業の対応は、「賃上げ等の労働条件改善による採用強化」が最も高く、次いで「多様な人材の活用」、「従業員の多能工化・兼任化」、「業務プロセスの改善や工夫」となっている。白書では勤務時間を柔軟化し、女性労働力の積極的な取り組みや、シニア層の獲得・再雇用、外国人労働者の採用など、中小企業の人材不足対策が進んでいることを挙げる。
また「人手不足感が強い企業においては、既存の考えに捉われずに、女性・シニアの業務範囲を拡大している」と指摘。印刷業界でも人材不足の声が聞こえており、職場環境の整備に加え、女性やシニアが働きやすい制度の導入などが喫緊の課題となっている。