AIを活用したフレキシブルな製造と物流
出版社・取次・書店との連携で本を素早く届けるサービス
大日本印刷(DNP)は、DNPグループの丸善CHIホールディングスと連携し、書店のPOSなどのデータ分析にAIを活用し、需要を予測して読者のニーズにフレキシブルに対応する書籍の製造~物流~販売を組み合わせた体制を構築した。
出版流通業界では、書籍・雑誌を合わせた出版物の販売額が13年連続で前年を下回り、新刊本の返品率が40%に達するなど厳しい状況にある。これらの課題に対してDNPグループは、DNPの書籍用自社倉庫である書籍流通センター(SRC)と、グループ書店での在庫、出版社等の倉庫を連携させたフレキシブルな物流体制の構築を行う。これにより、製造から物流・販売までのリードタイムを短縮し、「欲しい時に欲しい本を手に入れたい」という読者の需要に柔軟に対応するサービスが構築され、読者に本を届けるスピードの向上を推進する。読者の需要に合わせることで、返品や在庫の削減を目指す製造体制を組み合わせ、配本精度の向上や、読者の満足度の向上につなげていく。
また、書店のPOSデータの分析による需要予測システムの活用も進め、精度の高い需要予測を行う。需要予測と出版社や書店からの注文情報を組み合わせ、1部から大部数の増刷まで需要に応じたフレキシブルな製造を実現。協力企業を含めた適地生産も進め、短期間の製造を可能とし、店頭に在庫が無い場合も迅速に本を届けるサービスの構築を進めていく。
また物流についても、出版社から書店への直接納品や増刷・製造した書籍の一部をSRCから書店へ直接発送するなど、読者の要望に合わせて対応。従来型の全国同一商品・同一販売だけでなく、読者の需要に応じた書店ごとに特徴のある商品の調達が可能となる。
今後もフレキシブルな製造体制とSRCを核にした他の流通倉庫との連携を進めるとしている。