2016年の教育市場は0.6%増の2.5億円規模に
競争は激化、時代ニーズに応じた需要が存在
矢野経済研究所は、教育産業市場に関する調査を実施している。それによると2016年度の教育産業全体の市場(主要12分野計)は前年度比0.6%増の2兆5,162億円で、主要12分野のうち「学習塾・予備校」「資格取得学校」「英会話・語学学校」など7分野で市場が拡大していることが明らかとなった。一方、大手教育事業者の大幅な会員数減少や個別指導塾との競合激化などで「学生向け通信教育市場」は大きく縮小した。
学習塾・予備校市場は、前年度比0.5%増の9,620億円。有名難関校を目指す上位志向層が、今も一定規模を維持しており、受験指導に強みを持つ事業者は業績を維持もしくは拡大させている。補習学習に対する需要も含め、他塾との差別化施策によって好調に生徒を獲得している事業者も存在。しかし、6~18才の学齢人口は年々減少しており、国内では限られた顧客層を奪い合う形で、参入事業者間の業績に好不調が見られる。
資格取得学校市場は、前年度比1.1%増の1,900億円。近年、縮小基調で推移してきたが、2016年度以降、微増に転じている。これまでの経験則からは反する形での回復基調となっているほか、比較的簡単な資格や公務員を中心とする就職系講座などに受講者が増加。長期に渡る不況期を経験した若者層の安定志向という発想が定着し、就職環境が良い中でも、民間企業よりも公務員という志向が継続しているとみられている。
英会話・語学学校市場規模は前年度比1.0%増の3,130億円。成人向けが堅調に推移。幼児・子供向けでは、小学校5年生から英語の教科化を控えていることや、大学入試制度改革で英語の4技能化試験(読む、聞く、書く、話す)の実施が予定されていることなどから、保護者の早期英語教育熱を一層高めている。教育に対するニーズは時代とともに変遷している。