業界の動き【2017年9月】

国の契約方針に「知財」明示 ◆政府

政府は7月25日の閣議で、「平成29年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針(以下、基本方針)」を決定した。平成29年度、新たに講ずる主な措置として、「知的財産権の財産的価値について十分に留意した契約内容とするように努めるものとする」という表現が契約の基本方針に新たに加わった。知的財産権については全日本印刷工業組合連合会と全日本印刷産業政治連盟が以前から官公需取引における著作権の適切な取り扱いを要望していた。

環境関連法規集を改訂 ◆日印産連

日本印刷産業連合会は、このほど地球環境委員会のもとに環境関連法規集改訂分科会を設け、最近の法改正の状況等をふまえ、『印刷産業における環境関連法規集(2012年版)』を見直し、『印刷産業における環境関連法規集(2017年版)』を発刊した。2017年版では、平成24年度版発行以降に改正された法令の改正ポイントを解説している。

都知事に要望書 ◆東京グラフィックス

東京グラフィックサービス工業会は7月26日、東京都の小池百合子知事に対し、平成30年度の東京都予算の要望書を提出した。要望書は、印刷物入札の最低制限価格制度の維持と改善、環境対応、情報セキュリティ問題、・BCP問題、女性の活躍のさらなる推進、高齢労働者の活用、・東京オリンピック・パラリンピック(インバウンド需要)に向けての7項目を挙げた。

JapanColor認定200工場に ◆日印機工

日本印刷産業機械工業会が実施するオフセット印刷の標準色、JapanColor認証制度の一つである「標準印刷認証」の取得企業が200工場に達した。標準印刷認証は、印刷工場における印刷機械のメンテナンスと数値管理等によって、安定した品質の印刷物を作成できる工程管理能力について認証するもの。

VOC削減で補助金事業開始 ◆東印工組

東京都印刷工業組合は、このほど、東京都環境局の「民間と連携した揮発性有機化合物排出削減対策推進事業」(VOC排出削減推進事業)の実施団体に採択された。同事業は、東京都内の事業活動に伴い、大気に排出される揮発性有機化合物(VOC)の排出削減対策を自主的に行う事業者団体を東京都が支援し、VOCの排出削減を推進するもの。事業者がVOCの排出を削減するための環境関連認証取得費(日印産連のグリーンプリンティング認定、全印工連の環境推進工場登録とCSR認定)やVOC警報器の導入費用の2分の1を都が助成する。

IGAS2018の説明会 ◆IGAS2018実行委

IGAS2018実行委員会は7月26日、東京都港区の機械振興会館で2018年7月26日から31日までの6日間、東京・有明の東京ビッグサイト東展示棟で開催される「IGAS 2018(国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展)」の出展社説明会を開催した。説明会では日本印刷産業機械工業会の西岡誠専務理事が挨拶。広常猛部長が統一テーマ、イベント、パネルディスカッション、次世代印刷技術、新カテゴリー、海外来場者誘致施策、グローバルプリント会議とレセプション、メディアカンファレンス、出展メリット、出展料金、早期申込割引等を説明した。

技能五輪に図書印刷・青木さん ◆図書印刷

10月14日から19日まで、アラブ首長国連邦のアブダビで開催される第44回技能五輪国際大会のグラフィックデザイン職種の日本代表選手として、図書印刷プリプレス本部製版センターセルライングループの青木美穂さんが出場する。グラフィックデザイン職種はコンピューターを利用して、カタログなどのエディトリアルデザイン、CIデザイン、商品パッケージデザイン、商品・イベント用の宣伝デザイン等の課題作品を実際に制作し、その作品の技能を競う。

収益は2億1,577万円に ◆印刷企業年金

印刷工業企業年金基金は、7月20日、第3回通常代議員会を開催し、平成28年度事業および業務経理などの決算、また財政検証の結果などを審議した。現在の適用事業所数は94社、加入者数は2,492人の規模で、平成28年度の収益合計は2億1,577万円余だった。財政検証も行われ、今後も継続する前提で将来の給付を賄うための必要な額(責任準備金)に対し、積立金(純資産額)を十分保有しているかを判断する「継続基準」はマイナス79万円だった。しかし、繰越可能な金額(許容繰越不足金)の範囲内であるため、掛金額の見直しは不要とされた。

19億2,343万円の黒字 ◆全印健保

全国印刷工業健康保険組合は7月26日、東京都中央区の全印健保会館で、第164回組合会を開催し、事業報告・収支決算などを審議したほか、新たに印刷健保会館事業検討委員会の設置を決めた。平成28年度決算は19億2,343万円の黒字。高齢者医療制度への納付金・支援金の負担が大幅に減少したこと、保険料収入が予算を大きく上回ったこと、事務局組織の改革で経費圧縮に成功したことなどが寄与した。ただし、今後の医療費の高騰、高齢者医療制度への支援金などの負担増が予想され、次年度は赤字を想定。

新理事長就任で記念講演会 ◆JPA

日本プリンティングアカデミーは7月26日、東京都中央区の日本印刷会館で、花井秀勝氏(フュージョン会長)の理事長就任の記念講演会を開催した。70名が聴講した記念講演会は、「人財戦略とマーケティング戦略~真・印刷関連業の近未来~」を演題に、花井氏が、『マーケティング視点で思考する戦略』『規制緩和・法改正による市場創出と対策』『人材の採用と育成と研修―社内体制と協業化』の3つのテーマから、印刷産業の進むべき方向と想いを語った。また、猪股康之学校長のJPAの紹介後、学生が、JPAを通じた学びについてプレゼンテーションした。

後援会を発足 ◆JPA

JPAは今年秋に、JPA後援会を立ち上げる。資金的にJPAを支援する組織ではなく、同窓会と別組織としてイノベーションの集中講座を中心に事業を展開する。後援会会長に選任された浅野健氏(廣済堂社長)は「中身のある後援会となる。先進企業のネットワークを築く場となる」と意欲を示した。

電子書籍1,976億円規模に ◆インプレス

インプレスがこのほど発表した新産業調査レポート『電子書籍ビジネス調査報告書2017』によると、2016年度の電子書籍市場規模は1,976億円と推計され、2015年度の1,584億円から392億円(24.7%)増加している。電子雑誌市場規模は302億円(対前年比24.8%増)と推計され、電子書籍と電子雑誌を合わせた電子出版市場は2,278億円となった。2016年度以降の日本の電子書籍市場は今後も拡大基調で、2021年度に2016年度の約1.6倍の3,120億円程度になり、電子雑誌市場規模440億円と合わせた電子出版市場は3,560億円程度と予測する。

日本創発グループに参画 ◆日経印刷

日経印刷(東京都千代田区)の親会社であるグラフィックグループは8月15日、ジャスダック上場企業の日本創発グループ(東京都荒川区)に経営参画すると発表した。日経印刷は日本創発グループ傘下の事業会社としてシナジー効果で企業価値を高める。また日経印刷創業者で代表取締役会長の林吉男氏は11月28日の臨時株主総会の承認を経てから、日本創発グループの代表取締役会長、吉村和敏代表取締役社長が取締役に就任する予定。

パッケージにFCS認証紙 ◆サントリー

サントリーグループは、国産商品で、国際的な森林管理認証FSC認証を取得した紙製包材の順次採用を目指す。第一弾としてサントリー食品インターナショナルは、「サントリー天然水」にFSC認証取得ダンボール包材を8月上旬製造分から順次採用する。同社は今年5月に国内飲料メーカーとして初めてダンボールのFSC-COC認証を取得している。さらに、サントリービールもノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー コラーゲン」を皮切りに「オールフリー」ブランドに秋以降順次採用するなど、FSC認証を取得した紙製包材の採用を進める。

オリジナルグッズ作成サービス ◆グラフィック

印刷の通販グラフィックは、人気のキャラクターやデザインを選ぶだけで世界にひとつだけのオリジナルグッズが作れる「ZAKKA MAKER(ザッカメーカー)」を開始した。新サービスは様々なデザインテーマの中から好みのテーマを選択し、名入れやメインのデザイン、背景やデコレーション素材などを自由に組み合わせることで、「オリジナルグッズ」を作ることができる。また、素材にはディズニーキャラクターをはじめ、世界的に人気のキャラクターを随時加えていく。

超薄のカラーグラシンペーパー ◆吉田印刷所

吉田印刷所(新潟県五泉市)は8月20日、自社ブランド「そ・か・な」で、ペーパークラフトで人気のある半透明のグラシン紙を使った彩り鮮やかな24色のペーパー素材のカラーグラシンペーパーの一般販売を開始する。先行して同社のオンラインショップで8月17日より販売開始。合わせて、ペーパーアイテムで定評のある水縞ブランドとコラボレーションしたデザインラッピングペーパーの販売も始める。

販促製品のECサイトを刷新 ◆販促スタイル

1,500以上の販促企画やキャンペーン等のノベルティグッズや販売品のアイテムを紹介する『販促スタイル』(運営:トランス/東京都渋谷区)は、従来のカタログ機能中心から、アイテム検索、オリジナルデザイン作成、見積書や提案書の作成までをワンストップで即時完結できるECサイトとしてリニューアルオープンした。「クイックプリントサービス」機能では最短2日間での出荷に対応する。同社営業日の午前10時までに、注文とデータ入稿すれば翌々営業日に出荷。

廃棄ストップ運動展開 ◆ポスターラボ

BSクリエイト(大阪府大阪市)が運営するポスター印刷専門サイトと専門店『ポスターラボ』は、"廃棄ストップ運動"と、保育へ残紙の無償提供を開始した。同社では廃棄物となる残紙を、A4サイズやA3サイズなどの定型に加工し、保育園に無償配布することで廃棄物を減らすとともに社会貢献に結び付けていく。また、等身大パネルなどで活用されるスチレンボードのパネル廃材を店頭で顧客に無料配布。さらに余った廃材をパネルスタンドに加工して無料で提供している。同社では"廃棄ストップ運動"の開始後、廃棄量が前年度比約30%程度削減されている。

オリジナルタイルに新デザイン ◆金羊社

金羊社(東京都大田区)は、オーダーメイドのプリント壁タイル・カーペットタイル・床タイル・塩ビタイルを製造・販売する「CRIOS(クリオス)」のデザインを追加した。今回追加したデザインは、アニマル柄や、西洋装飾をミックスした鮮やかなアクセント柄、和をイメージした唐草模様、グラデーションデザインなど20種類以上。プリントタイルとは、タイルに絵柄をプリントし、表面に特殊なコーティングを施した建材。

38億円超を減資 ◆ラクスル

印刷ネット通販「ラクスル」を運営するラクスル(東京都品川区)はこのほど、官報に資本金の額の減少公告を掲載した。減少公告によると、同社は資本金の額を38億4,555万6,315円減少し、1億円とする。

地図のオンデマンド印刷サービス ◆昭文社

昭文社は8月から、自社が保有する400点以上の多彩な大判地図を、欲しい大きさ、欲しい加工でセミオーダーできるネットプリントサービス「マップル地図プリント」を開始した。今回の新サービスは、Web上で拡大印刷や様々な加工の選択を完結。オンデマンド印刷により、従来に比べ低価格での販売と、注文から納品までの工期短縮を可能にした。

LLブック専門サイト開設 ◆欧文印刷

欧文印刷は、やさしく読みやすい本として注目されつつあるLLブックを総合的に扱うWebサービス『ハートフルブック』のサービスを開始した。LLブックは知的障がい者を始め、日本語を母国語としない人やシルバー層などを対象にしたやさしく読みやすい本。ハートフルブックはLLブックの認知・利用を促すために開設され、産学協同事業として運営される。

エコー賞審査員に谷田氏、花井氏 ◆フュージョン

ダイレクトマーケティングエージェンシーのフュージョン(北海道札幌市)はこのほど、米国DMA(データ&マーケティング協会)が主催する国際エコー賞の審査員に、同社・営業企画部の谷田貝正人氏(エコー賞アンバサダー)と花井優樹氏が選出されたことを発表した。このほか、大広の南信吾氏(大阪ADBU CP局 DBG)と電通ワンダーマンの明石智子氏(ダイレクトソリューション局)、高丹佑寿氏(ダイレクトソリューション2部)の3名が日本のマーケターとして参画する。

デジタルセキュリティーサービス ◆昌栄印刷

昌栄印刷(大阪府大阪市)は2018年春、富士ゼロックスの一意識別技術『Yoctrace(ヨクトレース)』を活用した高度な真贋判定および認証などの5つのデジタルセキュリティーサービスを開始する。昌栄印刷と富士ゼロックスは2012年1月から、有価証券、証拠証券などを対象とした既存の金融システム向けの偽造防止サービスや、ブランドプロテクションとして用いられているギャランティーカード、およびIDカードの認証サービスを想定した検討を行ってきた。

5期連続の営業増益 ◆凸版印刷

凸版印刷は7月28日、トッパン小石川ビルで開いた2017年夏季記者懇談会で、2017年3月期の業績、新事業、新市場創出への取り組みなどを説明した。2017年3月期通期業績は連結売上高1兆4,315億円(前期比2.9%減)、連結営業利益516億円(同6.3%増)、連結経常利益496億円(同4.2%減)、当期純利益325億円(7.7%減)を計上した。営業利益は5期連続の増益で、公表値を達成。同社の金子眞吾社長は今期を「『収穫』と『種まき』の両輪の年」と位置付け、「健康・ライフサイエンス」、「教育・文化交流」、「都市空間・モビリティ」、「エネルギー・食糧資源」の4つの成長領域を設定。今年4月に「フロンティアビジネスセンター」を新設し、全社横断的に新事業・新領域の創出に挑む。

表現AIの研究を開始 ◆大日本印刷

大日本印刷と国立大学法人電気通信大学の長井隆行研究室および中村友昭研究室は共同で、AI(人工知能)が人間の言葉や表情、ジェスチャーに合わせて、自動的にその返答とジェスチャーを生成する「表現AI」の研究を開始した。研究成果として、情報デバイス(ロボット、チャットボット、デジタルサイネージなど)が、ジェスチャー付きで会話を行う、「表現AI」のプロトタイプを2017年度中に開発し、その後、実際の情報デバイスを利用した自動プレゼンテーションの実証実験を行う予定。

中期経営計画を発表 ◆図書印刷

図書印刷は8月4日、静岡県沼津市大塚の沼津工場で記者懇談会を開き、第一四半期の業績と「中期経営計画」を発表した。中期経営計画では第一ステージの2017年度から2019年度までに総額300億円を投資し、2019年度に売上を現在の538億円から600億円に拡大する目標を打ち出した。

IS29がインターテック賞 ◆KOMORI

小森コーポレーションと米国現地法人コモリ・アメリカ・コーポレーションは、KOMORIの29インチ枚葉UVインクジェットデジタルプリンティングシステム『Impremia IS29』が米国印刷工業会(PIA)のインターテック技術賞2017を受賞したと発表した。KOMORIは全自動版交換装置APC、菊全判オフセット枚葉印刷機LITHRONE S40、H-UV速乾システムに続く4回目の受賞となる。

Jet520HDがインターテック賞 ◆SCREEN GA

SCREENグラフィックソリューションズのロール式高速インクジェット印刷機の最新鋭機種「Truepress Jet520HD」とオフセット印刷用コート紙に直接印刷が可能な新インク「SCインク」が、米国印刷工業会のインターテック技術賞2017を受賞した。

イベント情報&業界ニューストップへ