官公需における知財権保護へ
基本方針に配慮の一文
政府は7月25日の閣議で、「平成29年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針(以下、基本方針)」を決定した。平成29年度、新たに講ずる主な措置として、「知的財産権の財産的価値について十分に留意した契約内容とするように努めるものとする」という表現が新たに加わった。
知的財産権については、全日本印刷工業組合連合会と全日本印刷産業政治連盟が以前より官公需取引における著作権の適切な取り扱いを要望していた。全印工連は、昨年5月18日開催の自由民主党中小印刷産業振興議員連盟の総会で、官公需取引に関して、①中小企業者に関する国等の契約の基本方針の徹底遵守、②低価格競争防止策の導入、③財産権の保護の3つの要望を提出していた。その後、財産権の保護は、経済産業省がコンテンツ産業強化対策支援事業(全印工連が事業を受託)を行い、実態把握に努めつつ、知的財産権の適切な取り扱いの検討を進めた結果、今回の基本方針の改定に繋がった。
全印工連では、全印政連と連携して活動してきたことが今回の改定に結びつき、事業者団体活動の大きな成果であることを強調する一方で、実効性が伴わなければならないと指摘する。実効性を高める方策として、全印工連では、今後、改定内容を積極的に周知・啓発するための説明会や勉強会を開催し、組合員への理解を深めるとともに、国に対して総務省を中心に全国地方自治体に対し、基本方針遵守の徹底を図るよう求めていく。さらに積極的な活動を後押しするため、中小印刷産業振興議員連盟にさらなる支援を求めていきたいとの考えを示している。
今後、中小企業庁から発表される基本方針の解説には、「知的財産権の利用範囲の明確化」や「コンテンツ版バイ・ドール制度の活用」も盛り込まれる予定。