プリンタ世界出荷台数は前年比97.0%の1億40万台
産業向けプリンタは好調、プロダクションプリンタの高付加価値化進む
矢野経済研究所によると、2016年度のプリンタ世界出荷台数は前年度比97.0%の1億40万台、出荷金額は同94.9%の5兆9,500億円となった。
2016年度は、中国経済の減速に加え、アメリカやユーロ圏の企業の一部に弱めの動きが広がったことで先行き不透明な景況感が漂ったことや、為替変動によるリスクを上げていることなどが影響したとしている。
分野別で見ると、オフィス向けプリンタは大容量インクタンク搭載プリンタが好調ではあるものの、単価が下落傾向にある機器も多く、オフィス向け全体としては伸び悩んだ。一方、業務用/産業向けプリンタは2016年度も総じて好調で、同分野を注力分野のひとつとしているプリンタメーカーは増加基調にある。プロダクションプリンタなどは、高生産性機種や高付加価値機へのシフトが進んでいる。
なお、2016年度下期に入ると、中国経済には持ち直しの動きが見られるようになったが、民間企業のおける設備投資の伸びは弱く、また、アメリカの政策動向やユーロ圏の景況感は不安定であることから2017年度も経済成長の鈍化が見込まれ、2017年度のプリンタ世界出荷台数については、前年度比98.0%の9,840万台、同出荷金額は同97.5%の5兆8,000億円と予測している。国内のプリンタ市場については、為替レートが円高に動いたことなどにより企業の設備投資に慎重さが見られたことで、世界市場同様に縮小した。
こうした中、注目される市場としてデジタルラベル印刷機がある。2016年度のデジタルラベル印刷機の世界出荷台数は前年度比114.0%の980台だった。活性化の要因として、インクジェット専用の印刷機が多く発売されたことや、他の商業印刷と比べてデジタル化率が低く、デジタル化への期待値が高いことなどを挙げている。