ブラック企業リスト更新、401社に
1年間掲載、イメージダウンに
今年5月に初公開された厚生労働省のいわゆる「ブラック企業リスト」が8月15日に更新された。労働基準関係法違反の疑いで送検された国内企業を公開したもので、当初の332社から401社に増加した。公表されているのは死亡や重傷を負うような大きな事故があった場合、違法な長時間労働や過労死などが複数の事業所で認められたか、もしくは2回以上認められた場合。厚労省では今後も公表を続けていくとしている。
5月に公表されたリストには、大手広告代理店、大手電機メーカーなどが名を連ねた。7月にも大手旅行代理店などが掲載され、今回、水道局もリストアップされた。リストは大手企業よりも中小企業が多く、建設、造園、運輸など労働集約的な業者が目立つ。
リストに企業名が掲載されるのは各都道府県の労働局による公表から1年間。しかし、送検事案が労働局のサイトに掲載を続ける必要性がなくなったと認められ、局長指導事案が是正及び改善が確認された場合、1年を待たずに削除される。いずれにせよ掲載された企業はイメージダウンが避けられないうえ、人材確保に響くだろう。
厚生労働省は今年1月『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』を発表。企業に向けて、自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすることなどを促している。
大手広告代理店の長時間労働が原因とされる社員の過労自殺は社会問題となり、多くの企業で労務管理のあり方が問われることになった。長時間労働の背景には人件費の圧縮、労働人口減少に伴う人手不足など様々な要因がある。国の雇用政策の見直しも進められており、国主導の"働き方改革"が一層進展しそうである。