未来の出版に関するラボラトリ発足へ
日本の出版の国際競争力の強化を目指す
出版デジタル機構と慶應義塾大学SFC研究所、およびKADOKAWA、講談社、集英社、小学館は、共同で慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)に、未来の出版に関する研究を行うAdvanced Publishing Laboratory(APL)を設置する。
APLの設立は、電子書籍の国際標準規格EPUBの管理運営がインターネットの国際標準化団体World Wide Web Consortium(W3C)に統合され、そのW3C内にDigital Publishing Business Groupが設けられたことがきっかけ。この統合により、未来の出版はインターネットのパブリッシングとより親和性を増すことになる。
日本の出版が新しい時代に適応し国際競争力を高めるためには、世界に誇る質の高い日本の伝統的な出版技術とデジタル技術の融合を推し進める必要がある。そこで、出版4社とデジタル技術で出版業界の変革を目指す出版デジタル機構は、W3Cの東アジア(中国を除く)担当ホストである慶應義塾大学SFC研究所の全面協力を得て、APLを設置することとなった。
APLでは、今後2年間の活動を予定。国内有識者の知見を結集し、現在のEPUB規格の国際的な維持管理、次世代規格の標準化に対して積極的に貢献していく。標準化の対象には障害者差別解消法の精神に則ったデジタル技術の活用によるアクセシビリティの研究も含まれる。また、日本のエンタテイメント文化や精緻な日本語組版を海外に紹介する活動、海外の出版に関するデジタル技術情報を国内に紹介する活動など積極的な情報交換や普及展開に関する活動も推進していく。加えて、APLは、これまで培われて来た出版の知識と最新のデジタル技術に関する教育プログラムも予定。同プログラムを通して、専門知識や情報技術を活用して国際的な市場で活躍できる人材、未来の出版そのものを支える人材の育成を目指す。