有効求人倍率、バブル期越える1.46倍
業種、職種で大きな開き、経営リスクも
厚生労働省が5月30日に発表した「一般職業紹介状況(平成29年4月分)」によると、今年4月の有効求人倍率(既設調整値)は1.48倍となった。前月比で0.03ポイント増で、バブル期(1990年7月)に記録した1.46倍を上回り、1974年2月の1.53倍に迫る数値となった。
都道府県別の有効求人倍率(季節調整値)をみると、就業地別では、最高が福井県の2.06倍、最低が北海道の1.13倍、受理地別では、最高が東京都の2.07倍、最低が北海道の1.09倍となった。
4月の新規求人(原数値)は前年同月と比較すると3.2%増。これを産業別にみると、運輸業・郵便業(8.3%増)、製造業(7.9%増)、建設業(6.9%増)、生活関連サービス業・娯楽業(6.1%増)、サービス業(他に分類されないもの)(5.7%増)などで増加した。
景気回復が実感できない状況下、有効求人倍率が上昇している背景には生産労働人口の減少が指摘されている。求人が増えているわけではなく、求職数が減っている。慢性的な人手不足は、中長期的に見て経営リスクになりうる。
一方、職種別では有効求人倍率にかなりの差が開く。「一般事務」の有効求人倍率は0.30倍で1に満たず人余りの傾向が表れている。それに対し、「建築・土木・測量技術者」が4.41倍、「医師、薬剤師等」が5.43倍、「建設躯体工事」が8.35倍、「介護サービス」3.13倍と、仕事の負荷が強く、長時間になりがちな職種で人手不足に陥っている。
印刷・同関連業の4月の新規求人は3.2%減少だったが、印刷業界でも都市部、地方を問わず新規雇用が難しいという声が増している。今後、人手不足が続く場合、雇用コストの上昇に加え、職場環境、労働時間などの見直しが必要となってくるかもしれない。また、さらなる効率化、自動化も求められてくる。