4月出荷分から印刷・情報用紙の価格を改定
原燃料価格高騰、内需は減少続く
日本製紙、大王製紙、三菱製紙、北越紀州製紙が2月下旬に入って相次いで、4月1日出荷分からの印刷・情報用紙の値上げを発表した。値上げ幅は各社とも印刷用紙が15円/㎏以上、情報用紙が10%以上。今回の用紙値上げについて、製紙メーカー各社は原燃料価格の高騰や円安を挙げている。
用紙値上げの動きに対し、全日本印刷工業組合連合会は、組合員に対し、平成28年度「用紙価格動向等調査」を開始した。同調査では、ベース価格(薄物・厚物格差を除外した価格)、過去1ヵ月分の平均価格などを把握する。全国の用紙価格を事前に調査した上で、4月以降、値上がりが実施された場合、その値上げ幅を再度調査し、行政や自民党・中小印刷産業振興議員連盟などに働きかけていく。
用紙値上げについては、印刷関連団体が毎回、反対の要望書を提出しているが、実行力に欠ける。2015年に全日本印刷工業組合連合会が自由民主党の有志議員で構成する中小印刷産業振興議員連盟との意見交換で、用紙仕入れ価格が適正に転嫁できないことが問題であると指摘。官公需中心に価格転嫁を進めていくことの重要性を強調した。今回の用紙値上げは、需要家に資材の高騰分がしっかりと転嫁できるかが焦点となる。
原燃料価格は本当に上昇しているのか。IMF(国際通貨基金)の発表する原油価格の推移を見ると、2016年3月以降、上昇傾向にある。OPEC(石油輸出国機構)と非加盟の主要産油国が昨年12月に協調減産することで合意しており、原燃料価格に今後どのような影響を及ぼすかも注目される。また、国内製紙メーカーの第3四半期決算短信からは、印刷・情報用紙の内需の減少が見てとれる。日本製紙連合会の紙・板紙の内需見通しを見ても、10年連続の減少となっており、2017年もマイナス成長と予測している。