前年比7.0%下回る1,599件、負債総額は初の5,000億円割れ

「経営者の病気、死亡」も高水準負債1億円未満の小規模倒産が全体の75.5%

帝国データバンクの調査によると、東京都の2016年における倒産件数は1,599件となり、前年1,720件を7.0%下回った。負債総額も前年の8,007億9,800万円から3,002億6,900万円となり前年よりも62.5%下回った。負債1,000億円超の大型倒産が2011年以来5年ぶりに発生しなかったことが負債総額を押し下げる要因となった。
業種別にみると「建設業」「製造業」「運輸・通信業」など5業種で前年を下回った。最も減少したのは「運輸・通信業」の42件で、前年比23.6%減となった。次いで製造業の165件、21.4%減、建設業174件、16.3%減、不動産業60件、14.3%減で2ケタの減少となった。サービス業は489件、同6.7%減となったが、小売業は289件、同前年比8.2%増、卸売業は0.3%増で2業種が前年を上回った。
倒産の要因で最も多いのが「販売不振」の937件で58.6%を占める。販売不振を含めた「不況型倒産」は994件となったが、全体の倒産件数減少から倒産件数は前年比12%減となった。
倒産要因で高水準が続いているのが「経営者の病気、死亡」で、後継者不足や代表者の高齢化が影響している。2016年は51件発生し、2000年以降初めて50件を上回った。
負債額をみると「1,000万円~5,000万円未満」の倒産が990件発生し、全体の6割を占めた。負債「5,000万円~1億円未満」の小規模倒産は75.5%となり、高水準が続いている。負債「100億円以上」の大型負債は4件発生したが、負債1,000億円超の大型倒産が2011年以来、5年ぶりに発生しなかったことから負債総額を押し下げた。
東京都の企業倒産は金融円滑化法案の終了以降も金融機関が返済猶予に柔軟な対応を続けていることから倒産抑止に効果を発揮している。しかし、2016年は12か月中7カ月で前年同期比増を記録し、この流れに変化の兆しも見える。

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