16年の市場規模縮小

引き続き安定した伸びを予測

地域活性化の一つの道筋として、訪日外国人をターゲットとしたインバウンドの関心は高い。地域に根差した中小印刷業界も様々な取り組みを行っている。
矢野経済研究所が昨年末に発表した「国内インバウンド市場に関する調査」によると、訪日外国人客数に関するデータを国別の人口や旅行トレンド、経済的背景などを基に分析した結果、2020年の訪日外国人客数が2015年の約1.9倍となる3,679万人になると予測する。特に中国をはじめとするアジア地域からの訪日客数が順調に拡大すると考えられている。一方で、世界情勢、経済情勢、為替動向などを考慮すると、急激な伸びは治まり、トレンドとして徐々に穏やかなものになっていくと推測する。
訪日外国人客による国内インバウンド市場(物品購入のみ、宿泊費や交通費は含まない)は、2016年に一旦縮小するものの、2017年以降、1 人当たりの購買単価こそ2016年の水準が継続すると思われる。訪日客数の増加が大きく、市場規模として再び拡大傾向に向かうとみている。2020年には、市場規模が2015年の約1.3倍となる1兆8,764億円を予測する。
加えて、矢野研の調査で国内インバウンド市場は地域性が顕著に表れていると指摘する。ここ数年、好調なインバウンド需要は、一部の地域が大きな恩恵を受けており、大半の地域にまで波及していないのが実状。都道府県別の規模を見ると、東京都が約6,077億円と、国内インバウンド市場全体の40.9%を占めている。次いで大阪府が続き、その他、北海道、千葉県、京都府、福岡県、沖縄県といった地域も訪日客数の多さと比例して日本での消費スポットとなっている。
政府が掲げる2020年の訪日外国人客数の目標は4,000万人。インバウンド市場を全国に波及させるには、各地が独自の魅力と話題を発信していくことが求められる。

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