外出する人の割合が減少している

20代の外出による移動が、70代の移動を下回る

国土交通省が、人々がどのような目的で、どのような交通手段を利用して移動しているかなどについて、都市における人の動きを概ね5年に1度調査する「全国都市交通特性調査」が発表されている。それによると、外出する人が調査開始以来最低の結果になった。
平成27年度の調査では、外出した人の割合は、平日で80.9%、休日で59.9%となり、本調査を開始した昭和62年以降、最低の値となった。また、1日の移動回数についても、平日で2.17回、休日が1.68回となり、調査開始以来最低の値だった。
移動回数が減少している要因として、移動回数の少ない高齢者の人口が増えたことと、若者の移動回数も減少していることが考えられる。特に、20代の移動回数は1.43回と減少し、70代の移動回数1.60回を下回っている。移動目的についても、買い物、食事、娯楽など目的のある移動回数は、就業者・非就業者とも大きく減少している。
交通手段については、三大都市圏では平日は公共交通と自動車の利用割合は同程度であるが、地方都市圏では自動車の割合が6割近くに上る。だが、休日については、いずれも自動車の利用割合が高かった。
国税調査によると、非就業者の割合は増加しており、2015年には47.1%だった。一方、就業者の割合は、20代から40代で減少し、50代や60代は増加。そして非就業者の外出は、就業者よりも少なく、減少幅も大きい。このことから、社会経済を支えるべき世代の就業率が減少し、外出率も減少。退職世代の就業率が高く、外出率も高いという実態となった。経済的にゆとりのある世代の外出率が高く、加えて消費の冷え込みを反映しているともいえるが、20代から40代の就業率の減少と外出率の低下には、現在社会が抱える課題も見える。

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