下請法、50年ぶり直しでルール厳格化
下請け企業の取引環境改善へ、段階的に浸透図る
下請け取引環境の改善に向けて、年内をめどに「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」の一部を見直すことになった。下請法は、不当な下請代金の値引き要請、支払期日の延期などを防止する法律で、見直しは約50年振りとなる。見直しにより、下請け業者への支払いルールが厳格化され、親会社となる企業には業種別に自主行動計画の策定も要請する。これにより、下請け企業が不利益を被ることがないように取引環境を改め、収益性の向上を後押ししつつ、賃上げの環境整備を進める。
今回の見直しでは、同法で禁止する割引困難な手形に関する期間の定義を変更。現在、割引困難な手形の期間は、繊維業が90日、それ以外の業種では120日以内と定めていたが、これを60日に短縮。年内にも新しい通知を出す見込み。
さらに下請け業者に対する支払いは、原則として手形ではなく現金とすることを親事業者に要請する。手形の場合でも、割引負担料を発注者側である親事業者が負担するよう求める。また、不適正な原価低減要請や金型保管コストの押しつけといった違反行為の事例追加も公正取引委員会に提案する。
また業種別の自主行動計画については、すでに政府では自動車業界の幹部と直接会談し、協力を要請。これに加え、「素形材」「建築機械」「電機・情報通信機器」「繊維」の4業界に同様の自主行動計画の策定を要請している。対象業界については段階的に増やし、進捗状況や効果も追跡調査して、継続的に浸透を図る。
なお、下請け取引の適正化にむけて、政府は「よりメリハリの効いた取り組みを官民一体となってすすめる」(世耕弘成経産相)と強力に推進していく考え。経済産業省はコスト負担の適正化などを盛り込んだ政策パッケージ「未来志向型の取引慣行に向けて(通称・世耕プラン)」を策定した。