産業界にも一層の省エネ
省エネルギー技術戦略2016まとめる
経済産業省・資源エネルギー庁国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構はこのほど「省エネルギー技術戦略 2016」をまとめた。
日本のエネルギー需給構造は海外の資源に大きく依存している。エネルギー供給体制は安定しているといえず、福島第一原子力発電事故以降、とくに問題が顕在化してきた。省エネルギーはそうした問題を解決する一手段といえる。同戦略では技術的な進歩で大きな効果が期待できるとしている。
産業部門は、最終エネルギー消費のうち43%を占める。このうち約8割がエネルギー多消費型産業で使われている。
同戦略では産業部門のエネルギー消費比率の上位を占める鉄鋼、化学、セメント、紙・パルプ等プロセス産業の一層の省エネ化促進の重要性を指摘。「製造プロセス省エネ化技術」、「省エネ化システム・加工技術」、「省エネプロダクト加速化技術」の3点を重要技術と位置付けた。例えば、「産業用ヒートポンプ」、「コージェネ・熱利用技術」の活用や、熱加工技術・動力技術・物理化学プロセスを用いた部材加工技術の開発、製造プロセス共通の基盤技術の高度化、金属材料・有機材料・無機材料・セルロースナノファイバーをはじめとしたバイオ材料の開発などが指摘されている。
「環境対策」という視点で印刷産業では早くから省エネルギーへの関心が寄せられてきた。省電力型UVインキや現像機を省いたCTPシステムをはじめ、工程を短縮する新たな技術導入により結果的に省エネルギーに寄与してきたといえる。
同戦略では重要技術の一つとして、IoTなどの新たな技術を包含した「革新的なエネルギーマネジメント技術」を示している。今後、印刷産業の省エネ技術の導入もさらなる高度化が求められてくるかもしれない。