業界の動き【2016年9月】
8年ぶりの黒字決算 ◆全印健保
全国印刷工業健康保険組合は、7月27日に開催した第161回組合会で、平成27年度事業報告と決算について審議した。全印健保は、全国10支部の事業所を廃止し、本部を中心とした組織へと大改革を実行。その新組織最初となる平成27年度の決算は8年振りの黒字決算となり、収支6億9,959万9,000円だった。黒字決算の背景は被保険者一人当たりの保険料収入が大幅に増加したこと。年度当初は8億円超の黒字予算を策定していたが、保険給付費が予算を上回る結果となり、黒字額は約1億3,000万円圧縮した。
ホームページを刷新 ◆日印産連
日本印刷産業連合会は8月4日にホームページをリニューアルした。新しいホームページは日印産連の活動をよりタイムリーに分かりやすく発信するため、新たなシステムを導入し内容を刷新した。新サイトでは、日印産連を構成する印刷業界10団体のホームページとのリンクに加え、「会員団体・企業瓦版」を新たに設け、各団体の最新の情報を発信。印刷業界の情報ハブとしての役割を担っていく基盤を構築した。さらに、このセクションには「じゃぱにうむ」と命名したコーナーを設け、市場の成長が見込まれる地域連携とインバウンド関連市場での印刷会社の取り組み事例を紹介し、業界内外の情報共有を進める。
技能五輪選考が始まる ◆日印産連
2017年にアラブ首長国連邦・アブダビで開かれる第44回技能五輪国際大会・「印刷職種」日本代表選手選考会の第一次選考会が8月4日、東京都中央区の日本印刷会館で開かれた。技能五輪国際大会は、22歳以下の若手技術者を対象に競技を実施し、技能の向上とその重要性、必要性をアピールするために行われている。アブダビ大会は来年10月14日から19日まで開催される。印刷職種日本代表選手(候補者)の発表は11月下旬を予定している。
オンデマンド活用の仕様書 ◆電流協
電子出版制作・流通協議会技術委員会オンデマンド制作流通部会は、オンデマンド印刷とオフセット印刷のどちらにも対応可能な仕様について検討を行い、『出版におけるオンデマンド印刷活用のすすめ』を公開した。昨年、同部会は出版社と製作会社の間でデータのスムーズな流れを実現するための『オンデマンド印刷(出版物)における入稿仕様策定のための確認項目Ver.1.0』と『その解説』を公表した。今年はこれを一歩進め、印刷・造本設計でオンデマンド印刷とオフセット印刷どちらにも対応可能な仕様を検討し、『オンデマンド印刷活用のすすめ』としてまとめた。具体的には、現状のオンデマンド印刷の利用限界を考え、オンデマンド印刷をうまく活用する際、設計時に検討すべき仕様について、最大公約数的な項目を明らかにしている。
印刷生産金額、年前半は2.4%減 ◆経産省
経済産業省「生産動態統計(確報)」によると、2016年1-6月の印刷の生産金額(従業者100人以上の事業所、新聞社直営の事業所を除く)は1,940億3,200万円で、前年同期比2.4%減少した。出版印刷は同5.5%減の358億2,300万円。商業印刷は同3.1%減の717億4,600万円。証券印刷は同9.0%減の26億9,800万円。事務用印刷は同0.2%減の282億3,400万円。包装印刷は同4.8%増の367億100万円。建装材印刷は同3.0%減の81億4,600万円。その他の印刷は同11.8%減の106億8,400万円だった。
半期、平版インキ1.6%減 ◆経産省
経済産業省の「生産動態統計(確報)」によると、2016年1-6月の平版インキの販売数量は前年同期比1.6%増の6万1,833トンだった。樹脂凸版インキは同0.5%減の1万1,073トン。金属印刷インキは同0.2%減の6,753トン。グラビアインキは同3.7%増の7万8,866トン。その他の一般インキは同4.1%増の1万9,898トン。
半期、枚葉オフ機8.4%減 ◆経産省
経済産業省の「生産動態統計(確報)」によると、2016年1-6月の枚葉オフセット印刷機の国内生産台数は前年同期比8.8%減少の404台だった。輪転オフセット印刷機は同6.4%増の50台だった。産業用デジタル印刷機は同17.4%減の1万1,753台。凹版印刷機は同36.4%減の7台。その他印刷機は同14.6%減の597台。製版機械は同0.5%増の739台。製本機械は2.9%増の7,579台。
墨田区にサポートセット寄贈 ◆MUD協会
NPO法人メディア・ユニバーサル・デザイン協会は東京都墨田区に、災害時の避難所設営時に情報を分かりやすく整理して伝えるための「避難所サポートセット」42セットを寄贈した。8月25日にMUD協会から山本墨田区長に手渡された。「避難所サポートセット」は全日本印刷工業組合連合会が主催する「第9回メディア・ユニバーサルデザインコンペティション」で経済産業大臣賞を受賞した作品。災害時に避難所を設営する際に必要な、備品や各スペースなどを案内するためのシールやポップ、テープ類をまとめている。
未踏の分野に挑戦 ◆凸版印刷記者懇談会
凸版印刷は8月3日、東京都港区のトッパン芝浦ビルで夏季記者懇談会を開き、今期の業績見通しと経営方針を発表した。2016年3月期の連結売上高は前期比3.4%減の1兆4,746億円、営業利益が同18.7%増の485億円、連結経常利益が同14.6%増の518億円、純利益が同54.1%増の352億円となり四期連続の営業増益を達成した。また意思決定のスピードを高める執行役員制度を導入し、取締役数を減員する組織改革も実施した。金子社長は「グループを含めた構造改革の遂行、新事業・新市場の創出、グローバルな事業展開により成長スピードを加速させ、フロンティアスピリッツで未踏の分野に挑んでいく」との方針を示した。
グローバル・コンパクトに賛同 ◆トッパン・フォームズ
トッパン・フォームズは、国連が提唱する「国連グローバル・コンパクト」(以下、UNGC)に署名し、7月15日に参加企業として登録された。UNGCは各企業・団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組みづくりに参加する自発的な取り組み。
紙メディア核にシェア拡大 ◆図書印刷記者懇談会
図書印刷は8月5日、東京都北区の本社で記者懇談会を開き、2016年第1四半期の業績と今後の経営方針を発表した。川田和照社長は「ペーパーメディアを核に市場シェアの拡大、拡印刷の中期経営計画を強力に推進する。新規ビジネス推進室から新商品が開発されており、拡印刷から印刷業の枠を超えるビジネスを展開する。沼津、川越工場の生産拠点の高効率化と再構築を推進する」と今期の経営方針を明らかにした。また、「第1四半期では売上高で前年比1.2%増となった。出版印刷で単行本や絵本、コミック本などが順調に伸びた。商業印刷は横這いだが、出版事業は前年を上回った。顧客視点の営業スタイルを追求し新たな事業に取り組みたい。ソフト面ではBPOサービス、教育市場の新商品、高演色印刷市場の開拓などシナジー効果、ペーパーメディアのシェア拡大、拡印刷から印刷業の枠を超えた協業や提携による拡印刷事業の創出を進める」と今年度の経営方針を明らかにした。
売上高2.8%増 ◆共同印刷記者懇談会
共同印刷は7月21日、本社で業界記者懇談会を開催し、136期業績概況(2015年4月~2016年3月)、経営課題と展望、中期経営方針を発表した。今期136期は売上高950億9,700万円(前期比2.8%増)、営業利益26億2,500万円(同48.2%増)、経常利益34億8,200万円(同38.4%増)で増収・増益を達成した。同社の藤森社長は「事業領域を拡大し、成長のステージへ進む経営の体制が整った。強みを活かし事業領域を拡大して利益を創出する」と中期経営方針を説明した。新規事業ではトータルソリューション事業、BPOなど業務支援サービスの拡充、ASEAN市場でのチューブ事業を拡大するベトナム工場の稼働開始、インドネシア企業との協業に着手する。また「来年は創立120周年を迎える。全社挙げて事業領域の拡大、新規事業開発機能の強化を推進する」との方針を述べた。
情報系事業の新サービス ◆共同印刷
共同印刷は情報系事業の新サービスとして顧客の課題を解決するソリューション「リア食」、ショッピングのデジタルサイネージ「MY SHOPPING CONCIERGE(マイ・ショッピング・コンシエルジュ)を販売・展開している。新サービスの「リア食」は生活者から収集した食卓画像および画像と紐付いたアンケート情報をマーケティングデータとして提供するサービス。アンケートでは生活者の年代や性別、収入などの属性、調理の有無や使用食材等を収集。店舗で販売された品がどのように調理され、誰がどのように食べたかという食卓の実態を知ることが出来る。食品の販売実績だけでは分からない生活者のリアルな姿を捉えることができるため、商品開発や販売促進策に有効で、食品メーカーなどで導入が進んでいる。
BPO強化へ第三期工事着手 ◆共同印刷
共同印刷は8月15日、BPO事業の強化を目的に、川島ソリューションセンター(埼玉県比企郡)の第三期工事に着手した。完成は2017年3月末の予定。川島ソリューションセンターは、高度なセキュリティ体制のもと大量のデータプリント処理が可能な技術と設備を保有するとともに、その周辺領域としてのBPOサービス(返信書類の受付、データ入力、データベース管理、コールセンター業務など)を一括受託できる体制を整えている。生産スペースの拡大により、設備の増強や再配置を行うことで、より拡張性のあるデータプリント事業およびBPOサービスの受託体制の強化を図る。
PODカラー印刷サービス開始 ◆インプレス
インプレスグループで電子出版事業を手がけるインプレスR&Dは、アマゾンのプリント・オンデマンド(POD)サービスのカラー印刷開始に伴い、「POD流通サービス」の対応オプションにカラーPODを追加した。カラーPODは、8月末より販売を開始するアマゾンのほか、honto.jp、楽天ブックスなどインプレスR&D独自開発のPOD対応ストアで提供される。同社では、2015年3月より出版社を対象に、POD流通サービスを提供している。POD流通サービスは、出版社ブランドをそのままに、アマゾン、honto.jp、楽天ブックス、三省堂書店、ウェブの書斎といったPOD対応ストアでの流通業務を代行する。
軟包装インクジェット導入 ◆北四国グラビア
食品などのパッケージ製造を手がける北四国グラビア印刷は、小ロット・短納期対応の新たな生産機として、富士フイルムグローバルグラフィックシステムズの軟包装用UVインクジェットプレス『MJP20 W』の導入を決定した。同社では、グラビア印刷で校了後、11日で納品する超短納期プラン『GOLD11』など、自社一貫製造体制を活かしたスピード納品サービスを展開している。今回、さらなる小ロット・短納期対応を実現するため、デジタル印刷機の導入を決断した。数年前から具体的な導入機種の検討を進めてきた。
FFGSのフレキソ製版導入 ◆CCL社
世界最大手のラベル印刷会社、CCL Industries Inc.(CCL社)が、富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(FFGS)のフレキソ製版システム『FLENEX』を各国の拠点に導入していくことを決定した。CCL社はすでにアジアの2工場で水現像版『FLENEX FW-L』を採用しており、環境負荷低減、生産性・品質向上などのメリットが確認できたことから、今後、世界各拠点への導入を進めていくとしている。
壁掛けカレンダーにカラー名入れ ◆岩月末広堂
岩月末広堂は、少部数から低コストで既成壁掛けカレンダーへのフルカラーの名入れ印刷ができる2017年分の『フルカラーヘッダー名入れ印刷』の提供を開始した。国内の多くの法人が年末に制作・配布する「既製名入れ壁掛けカレンダー」は少部数で制作をする場合、「フッター部分への黒1色名入れ印刷」という方法が主流。これまでフルカラー名入れ印刷は製造工程と製造コストの問題から一般的に採用されるケースが少なかった。同社では、従来のフッター部分からヘッダー部分(カレンダー綴じ部分)に名入れ位置を変更するとともに新設備を導入することで、製造工程とコストの問題を解消。少部数でも低コストでフルカラーの名入れ印刷ができるようにした。
プリントタイルのカタログ第二弾 ◆金羊社
金羊社は特注プリントタイル製作や、オリジナルプリントタイルを製造・販売する「CRIOS(クリオス)」から、独自のオリジナルプリントタイルを集めた『CRIOS プリントタイルカタログ 2016-Vol.2』を発刊した。「CRIOS」はタイルに絵柄をプリントし、表面に特殊なコーティングを施した"プリントタイル"。デザインデータを入稿するだけで、小ロット・短納期・低価格でオリジナルタイルの製作ができる。
両面同月仕様の卓上カレンダー ◆アイカム
各種印刷物やノベルティグッズのネット通販事業を展開しているアイカムは、2017年度のカレンダーとして、両面同月仕様が特徴のリバーシブル卓上カレンダー『モノトーン』の販売を開始する。新製品は表裏両面に同月度のカレンダーが色違いで展開されており、対面でのカウンター業務などの接客場面で有効に活用することができる。
20.5億円の資金調達 ◆ラクスル
ラクスルは、日本政策投資銀行、フィデリティ投信が運用する複数のファンド及び既存株主のオプトホールディング、グローバル・ブレイン、GMO VenturePartners、Global Catalyst Partners Japanから、事業強化を目的に総額20.5億円の資金を調達した。今回の資金調達により、主力事業である印刷のEコマース事業の更なる拡張のための投資に加えて、集客支援事業及び物流事業の成長を加速し、中長期的に企業・事業の成長を図るとしている。