世界一のロボット利活用社会へ
導入実証実験の二次締切を採択
2015年2月に安倍内閣の日本経済再生本部で決定した「ロボット新戦略」。アベノミクスの成長戦略の一つで、「世界一のロボット利活用社会」を目指すとしている。
経済産業省はこのほどロボット新戦略を受けた「平成28年度ロボット導入実証事業」の二次締切分について、導入実証83件、FS(実現可能性調査)21件のロボット活用に関する提案を採択した。同事業では製造業やサービス業のロボット未活用領域のロボット導入を実証する事業者に費用の一部を補助するというもので、最大上限5,000万円の支援が受けられる。
今回採択の対象となったのは、労働生産性の向上や過酷作業、熟練技術の代替え、複雑・困難な作業のロボット化など8項目。例えば、形状やサイズ、材質が異なる多種多様な部品の梱包やピッキングなどが含まれる。
採択された事業の中には、「医薬品開発前臨床試験における検体容器への識別ラベル貼付工程にロボットを導入」、「広告撮影製作工程にロボット導入」など、印刷周辺の領域も含まれている。また、ロジスティック関連で、「EC物流センターにおける商品ピッキング作業のロボット化」などが採択された。
印刷産業のロボット化は用紙搬送やパレット積みにとどまり、進んでいるとはいえない。製品の仕様が多種多様で標準化が難しく、複雑な作業が伴うからである。しかし、これからロボットがAI(人工知能)を搭載していくことで、そうした複雑な作業のロボット化が可能になるものと予想される。印刷前工程はITを取り込み、自動化を指向する動きが見られている。今後、印刷や後工程での現場で、例えば紙積作業を軽減するパワードスーツや、多品種に及ぶ販促物のピッキングなどロボット化が進めば一層の作業の軽減や効率化が図れるだろう。