取次中堅の太洋社自主廃業
各地の地方書店にも影響
取次準大手の(株)太洋社(東京都千代田区外神田、従業員100名)は、2月8日、取引出版社と書店に対して自主廃業することを発表した。取次4位の栗田出版販売の廃業に続く出版取次の相次ぐ倒産が出版不況の深刻さを象徴している。
太洋社は国内中堅の出版取次業者として書籍・雑誌・教科書およびステーショナリーなどの取次販売を手がけていた。特にコミックの扱いには力を入れ、「コミックの太洋社」と言われるなど業界での評価は高かった。信用調査会社によると、2005年6月期には年売上高約486億6,700万円を計上していた。しかし、近年は出版不況の影響を受けて業績も低迷。中小書店の廃業やWeb情報の台頭で雑誌販売の落ち込みが顕著となり、2015年6月期の売上高は約171億2,100万円に減少。10期連続減収、6期連続経常赤字を余儀なくされていた。
同社は今後、事業清算に向けて不動産や有価証券などの資産を現金化すると共に、取引書店を他の取次会社に移行する「帳合変更」を進めていく。同時に取引書店に対する売掛金の回収を進め、資産の売却益も足して出版社への弁済原資を確保していくが、地方書店への影響が懸念されている。
出版科学研究所によると出版業界は10年連続で販売額が減少している。2015年1月の書籍雑誌の推定販売金額は1,039億円で、前年比4.5%減となった。書籍が540億円で前年比0.1%増、雑誌は498億円で、同9.1%減、そのうちの月刊誌は398億円で8.0%減、週刊誌は100億円で、13.2%減となった。返品率は書籍が35.5%、雑誌が44.0%で雑誌のほうが高返品率という状況が定着しつつある。16年は1兆5,000億円を割りこみ、17年は1兆3,000億円台になるのではないかと予測され、ピーク時の1996年の半分という出版物売上状況に直面している。