需要減と構造変化に対応
市場縮小の対応進める
大手印刷会社で生産連携の動きが活発になってきた。2015年12月21日に東証1部上場の共同印刷株式会社と日本写真印刷株式会社の子会社である日本写真コミュニケーションズが出版印刷部門における生産連携を発表した。背景には出版印刷市場の縮小に対応し生産設備の供給過剰状況の解消、需要に応じた最適な生産体制の再編で事業収益の改善を図ることが狙いとされる。
両社は平成28年4月以降、東京地区で扱う印刷物の量産工程を共同印刷に生産委託を開始。印刷工程や製本・加工工程を中心に、物流や印刷資材に関する購買も生産連携の対象とする。今後、両社間で生産委託の規模を順次拡大。さらに株式の取得を含めて営業面での協業や事業提携の可能性についても検討する。
日本製紙連合会によると、印刷・情報用紙の内需は、2006年をピークに縮小を続けている。2016年は非塗工、塗工、情報ともに電子化やペーパーレス化等により減少継続を見込む。印刷・情報用紙の合計予測は国内需量が863万トンで前年に対し3.0%減となり10年連続減となる見込み。品種別では非塗工印刷用紙が1.0ポイント減、塗工印刷用紙が1.9ポイント減、情報用紙は0.1ポイント減と、印刷用紙を中心にいずれもマイナスとなっている。
共同印刷、日本写真印刷は通期決算でいずれも増収増益を達成しているが、紙媒体以外のメディアの台頭や活字離れ等による印刷市場の縮小、同業者間の競争の激化、用紙やインキなど原材料の高止まりなど、厳しい経営環境に対応した生産連携と合理化の一環と見られ、東証1部上場の光村印刷株式会社も1月12日に市場縮小の対応として50名の希望退職募集を発表した。大手印刷会社の市場縮小への対応が活発になっている。