葬祭ビジネスは堅調に拡大
2015年に1兆7,800億円を予測
厚生労働省によると人口構成の変化により死亡者数は年々増加している。一方、調査会社の矢野経済研究所によると、葬儀規模の縮小や参入事業者間の価格競争の影響により、2013年の国内の葬祭ビジネス市場規模(事業者売上金額ベース)は、前年比100.3%の1兆7,593億2,100万円となった。
新規参入事業者の増加によって、葬儀費用の低価格化と支払方法の多様化が進む葬祭ビジネス市場は、法的規制がなく、特に初期投資を必要としないことから新規参入が比較的容易であるため、ビジネスへの新規参入が全国規模で進んでいる。
これまで同市場では、冠婚葬祭互助会や専門葬儀事業者が数多く存在していたが、近年は、流通小売業、鉄道業、農業協同組合、生活協同組合などの異業種企業・団体の参入が活発化している。これら新規参入事業者の増加によって参入事業者間の競争が激化した結果、葬儀費用の低価格化と支払方法の多様化(ローンや分割払い等)が進展していると考えられる。
ライフスタイルの多様化や核家族化の進展等によって、葬儀のスタイルも多様化している。現在では、従来型の一般葬(出席者の範囲がより広い伝統的な葬儀)に加え、家族葬(通夜と告別式は行うが出席するのは家族や親しい親族とごく少数の故人の友人だけという内輪だけの葬儀)、直葬(通夜も告別式もせず火葬と遺骨の引き取りのみを行う葬儀)、樹木葬(遺骨の周辺にある樹木を墓標として故人を弔う葬儀)、散骨(粉末化した遺骨を海上や山林に撒く葬儀)など、様々なスタイルの葬儀が行われているが、葬儀会館で実施する小規模な「家族葬」の需要が高まっている。
印刷物も付随する葬祭ビジネス市場は2014年の見込みが1兆7,642億3,700万円。2015年には1兆7,800億1,700万円になると予想している。