出版流通業界の再編本格化

ネットから最終消費者へ取次の役割薄れる

出版流通準大手の栗田出版販売㈱が6月26日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請して倒産した。栗田出版販売は1918年(大正7年)6月創業、業界準大手の雑誌・書籍取次販売業者。週刊誌や月刊誌など雑誌類を主体に書籍、文庫本、児童書、コミック、専門学術書など幅広いジャンルを仕入れ、約1,800店の全国の書店に販売していた。
他の大手業者とは異なり、中小・零細規模書店に強く、91年10月期には年間売上高は約701億7,900万円を計上していた。しかし、近年はインターネットやスマートフォンなどコンテンツの多様化。若者層を中心に書籍の販売数が減退するなかで、減収基調が続き財務面も悪化。同業者との業務提携やグループ内での経営効率化などを進めていたが、2014年9月期の年売上高は約329億3,100万円に減少し、債務超過に転落していた。負債は134億9,600万円となり、出版取次業者の倒産では過去最大の負債額となった。栗田出版販売に対して取次3位の大阪屋と出版共同流通が再生支援の表明をしており、来年に経営統合を行うという。
出版科学研究所によると、2014年の出版物の販売額は1兆6,000億円で、ピーク時の1996年から比べると約1兆円減少した。注目を集める電子出版市場は年間約1,400億円で思ったほど伸びていない。出版業界は出版不況が続く中で流通面での合理化や省力化が一向に進まず、4割を超える出版返品率と本の販売不振が取次業界の経営不振に拍車をかけている。
大手出版社のKADOKAWAは自前の流通拠点を埼玉県所沢市に建設し、取次に頼らない流通に乗り出している。書店側でも紀伊國屋書店が丸善ジュンク堂を傘下に持つ大日本印刷と共同出資会社を設立した。楽天、アマゾンを加えて出版流通業界の再編が本格化してきた。

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