世界の印刷トレンドのレポート発表
景気は楽観視するも、価格問題、競争の激化など課題残る
メッセ・デュッセルドルフでは、欧州コンサルティング会社に委託し、世界の印刷業界の実情とトレンドに関するアンケート調査を行い、その結果をまとめたものを発表している。対象としているのは、印刷機械・部品メーカー、印刷会社の経営責任者1,100人。
アンケート調査の結果から、重要なポイントについて紹介されている。景気展望については、印刷会社の48%が2015年にビジネス環境が改善すると見ているという。中でも、印刷包装と機能性印刷の分野において楽観的に見られており、印刷機械・部品メーカーの51%の経営者が、2015年の売上・受注などがよくなることを期待しているという結果だった。
また経済的な挑戦については、印刷会社にとって厳しい状況のひとつは、なかなか値上げができないことを挙げている。このことから、日本の印刷産業だけでなく、世界的にみても印刷物の値上げ問題が大きな課題としてあることがわかる。実際、競争が激しく、顧客からの要求も強いため、印刷会社の38%が値下げせざるを得ず、加えて受注毎の印刷部数も少なくなってきている傾向もあるなど、さらに経済的に圧迫されているという。景気展望での楽観的な意見とは対象的に、依然として印刷産業が克服しなければならない課題が残っている。
なお、ビジネスモデルの多様化も、一つのポイントであるという。印刷会社は、Web印刷をはじめとした『ウェブ・デジタルサービス』など、提供するサービスの種類を増やす努力をしている。特に世界のなかでも、北米がこうしたビジネスへの取組みを進めている傾向にあるという。
それぞれの国によって細かな市場の異なりや課題はありつつも、印刷産業全体的としては国を問わず、新たな市場戦略が求められている時期にあることが示唆されている。