電本と紙本の併用サービスの普及はこれから
認知度UPが普及の鍵
BookLiveが行った『紙の本と電子書籍の併売サービスに関する利用実態調査』によると、「紙の本を買うと電子書籍がもらえるサービス」(併売サービス)についての認知度は4割を超えたが、利用経験者は約1割程度だった。その一方で、未利用経験者の8.7%が「ぜひ利用したい」、29.8%が「たぶん利用する」と回答しており、3人に1人は利用意向があることも判った。
未利用経験者の約7割が「対象作品だと気付かずに作品を購入していた」という結果もあり、認知度の低さが課題であることも表面化した。こうした結果から、今後は書店店頭やWebサイトなどを通じて、サービスの詳細を強く訴求していくことが鍵になるとしている。
なお、拡大が期待される作品ジャンルについては、最も多かったのが「小説」の38.5%だった。次いで「マンガ」の34.2%、「趣味・実用書」の33.9%と続く。すでに、紙の本と電子書籍を読むシーンによって使い分ける読書スタイルは、電子書籍のヘビーユーザーを中心に徐々に広がりを見せており、紙の本と電子書籍の垣根を越えたサービスも普及してきている。こうした動きもあって、雑誌が主なコンテンツとなっている電子書籍サービスのさらなる拡大を期待する意向も見受けられたという。
電源不要で壊れにくい紙の本と、大量のコンテンツが収容でき、文字の拡大なども可能な電子書籍では、やはり活用用途が異なってくるようだ。これまで市場を牽引してきたコミックスだけに頼る市場では本格的な電子書籍の普及は見込めない。読者が求めるサービスや配信するコンテンツの選択などが、今後の電子書籍の普及に影響しそうである。紙か、電子かということではなく、お互いが補完し、市場に影響を与えるデバイスとして活用することで読書市場を拡大していくことが求められる。