食品の健康効果訴えやすく
4月から機能性表示食品制度スタート
消費者庁は4月から「機能性表示食品」制度をスタートした。同制度は販売前届出制度を導入し、安全性および根拠情報などを販売前から開示することで、科学的根拠が不十分な製品の流通防止を図ると共に、誰でも製品の安全性、機能性に関する科学的根拠情報を得られるようにする。
申請者側は60日前までに論文などで食品の訴求する健康効果について科学的根拠を消費者庁に届け出ることで、その機能を表示することができる。例えば、リコピンを多く含むトマトであれば「リコピンの抗酸化力により、健康な肌を維持できる」といったことをパッケージで謳うことが可能。しかも国の審査が不要なので、取得までに数年かかり、多額の費用を必要とする特定保健用食品(トクホ)に比べてハードルが低くなる。
今回の制度開始に伴い、食品業界のパッケージデザインや広告は大きく変わり始めることが予想される。すでに大手企業は動き出しているが、申請のハードルの低さから中小企業でも広がるだろう。
食品業界が新たに機能性表示を採用していくと、必然的にパッケージやチラシの印刷物も刷新することになる。顧客から要望されるままに印刷するだけではなく、いかに機能性表示食品制度を採り入れ、パッケージで分かり易く食品の健康効果を表示するかを提案することで、新規ビジネス開拓も期待される。
また、新しい制度であるため、クライアントも消費者もトクホや栄養機能食品との違いの理解が進んでいない。例えば、国の審査が不要な分、企業責任が高まることや、特別用途食品、栄養機能食品との違い、アルコールを含有する飲料、脂質やナトリウムなどの過剰摂取につながる食品が除外されること、1食品につき、複数の機能性を表示できない等を知った上で取り組まなければならない。