提供したくない情報は「財産関係」
個別マーケティングの進展で扱い注意を
株式会社矢野経済研究所はこのほど「パーソナルデータに関する消費者の意識調査 2014」を発表した。調査によると消費者が企業に対してもっとも提供したくない情報は財産関係情報だという。
社会環境やライフスタイルの変化によって消費は多極化している。企業は個々の消費者の嗜好に沿った商品やサービスを提供しなくてはならず、データの活用によって消費動向を分析する重要性は増している。同時に、通信インフラの整備などで消費者から得られるデータは量、種類ともに増大している。一方、個人情報の保護が課題となっており、企業によるパーソナルデータの取得や利活用が、プライバシーへの配慮が不十分であるとして消費者から批判を受けるという事態も起きている。
調査ではもっとも提供に抵抗があるのは財産関係情報、次いで基本情報との結果が浮上した。クレジットカード番号や口座番号を不正利用されることよって金銭を盗まれる、住所や氏名を知られることによって不快な勧誘を受ける等の場面を想定して回答したと想定される。具体的にイメージしやすく、また身近な問題として危機感を感じる情報が提供したくない順位で上位にあがった。履歴関係情報や交友関係情報は、まだ新しいデータであるため利用される実感が薄い一方、②生命・身体関係情報、③履歴関係情報、⑤交友関係情報は、提供に対する抵抗感は比較的低い。
今後ビッグデータ活用の普及などに伴い、これらの新しい種類のデータをマーケティングや商品開発に利用する機会は増えると予想される。矢野経済研究所ではパーソナルデータがデリケートでセンシティブな情報を含むうえ、データの内容や分析方法によって個人が識別できてしまうこともあり得ることから、企業では慎重に扱う必要があると指摘している。