業界の動き【2014年8月】
電子出版市場は1,000億円突破 ◆インプレス総合研究所
インプレス総合研究所がこのほど発表した電子書籍の動向調査と市場規模推計によると、2013年度の電子書籍市場は、936億円と前年度比28.3%増加した。また、電子雑誌市場は77億円と推計され、電子雑誌と合わせた2013年度の電子出版市場は1,013億円となり、1,000億円を突破した。
新たなプラットフォーム向け電子書籍市場は2012年度から421億円増加の789億円と対前年度比114.4%増と推計する。その要因として、スマートフォンやタブレットユーザーの増加やテレビCMも含めた電子書籍ストアの積極的な広告宣伝活動によるユーザーの拡大、電子書籍ストアや出版社によるキャンペーンの拡大、文字物などのタイトルの拡充が平均購入量を増加させていることなどが挙げられる。
印刷機械の生産伸びる ◆機械統計
経済産業省が発表する機械統計から「印刷、製版、製本および紙工機械統計」をみると、1月から4月にかけての印刷機械の生産台数が前年同期比11.3%増加している。
印刷機械の1月の生産台数は946台で同34.4%増。内訳は、平版(オフセット)が75.6%増、長巻式が166.7%増、枚葉式が61.5%増、産業用デジタル印刷機が38.6%増、その他が7.7%減だった。
大判プリンタ市場が伸長 ◆インフォトレンズ
調査会社のインフォトレンズは7月17日、東京コンファレンスセンター・品川で「ワイドフォーマット、ラベル・パッケージング、インダストリアル、3Dプリンティングコンファレンス」を開き、関連市場の動向や成長予測を発表した。コンファレンスではワイドフォーマット(大判)市場を中心に報告。出力数については世界的に2018年まで年率6.2%の高い伸びを示すと予測した。
ワイドフォーマット市場の成長を支えるのは、アプリケーションの拡大と、アナログからデジタルへの移行。「発注数が増える」もしくは「変わらない」と予測する発注者が95.2%を占め、「増える」と回答した発注者の14.4%がより費用をかけても良いと回答している。また、今後増加するアプリケーションは、テキスタイル(81.3%)、POP(70.8%)、壁紙(69.1%)、ビルの壁面装飾(68.2%)、製造・産業関連(67.2%)の順となった。また、発注者の99.4%がワイドフォーマットについて効果があると回答した。
CSR認定、延べ73社に ◆全印工連
全日本印刷工業組合連合会はこのほど、第5回全印工連CSR認定委員会を開催し、横浜市立大学CSRセンターの審査報告の下、厳正な判定を行い、新たに4社をワンスター認定企業として認定した。現在、合計73社が取得している。
全印工連CSR認定制度は、CSR(企業の社会的責任)研究の第一人者である横浜市立大学の影山教授監修のもと策定した中小印刷業向けCSR規格。組合員企業からの認定申請は全印工連を経由して審査委託先である横浜市立大学CSRセンターに送られ、審査報告が全印工連に戻される。その審査報告をもとに、広告、紙卸、メーカー、シンクタンク、地域貢献認定企業経営者など外部の有識者で構成する全印工連CSR認定委員会で判定が行われて合格すると認定企業となる。
松浦会長を再選 ◆E3PA
環境保護印刷推進協議会(E3PA)は、6月26日、平成26年度定時総会を東京都千代田区の明治大学・紫紺館で開催し、任期満了に伴う役員改選で松浦豊会長を再選した。総会前には記念講演会を併催し、東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻の茅根創教授が「地球温暖化とサンゴ礁―温暖化にもっとも敏感な生態系―」をテーマに講演。地球環境の影響を最も受け易いサンゴの状況から、現在の地球環境を解説し、環境変化によってサンゴ礁は移動しており、このままで推移すると日本のサンゴはなくなると指摘した。
技術・技能継承の研修会 ◆東京都中央会
東京都中小企業団体中央会は7月28日、東京都中央区の日本印刷会館で、「技術・技能継承研修会」を開催した。研修会では、都内産業の存続と発展を目的とする東京都の「技術・技能継承事業」の一環として実施。今回、印刷業界の技術・技能継承のため、東京都印刷工業組合、公益社団法人東京グラフィックサービス工業会(東京グラフィックス)、東京グラフィックコミュニケーションズ工業組合(GC東京)と連携しての開催となった。
年次大会で情報交換 ◆全印工連関東地区協
関東甲信越静地区印刷協議会の第62回年次大会が、7月4日、ローズホテル横浜で開催された。220人が出席し、活発な情報交換が行われた。主管は、神奈川県印刷工業組合。全体会議では、昨年、全印工連から発表された産業戦略ビジョン「印刷道―ソリューション・プロバイダーへの深化―」(以下、「印刷道」)の実現に向けた取り組みが確認された。また、10月24日、25日に京都で開催する全日本印刷文化典京都大会への協力、CSR認定事業の第6期事業について、官公需対策に関するアンケート調査結果なども報告された。
森永会長を再選 ◆東政連
東京都印刷産業政治連盟は6月9日、東京・新宿のハイアットリージェンシーで平成26年度通常総会を開催し、印刷産業振興のための産業施策の取り組みを求める事業計画を承認するとともに森永会長ら役員を再選した。また総会後には設立30周年記念式典で歴代会長をはじめ功労者を表彰した。
総会は委任状を含めて218人が出席。森永会長は「都議会議員の協力で行政との意見交換を行い印刷産業の振興に成果を上げている」と挨拶。森田茂氏を議長に25年度事業報告、決算、26年度事業計画、予算、役員改選を原案通り承認した。
東京都の各種制度で意見交わす ◆東政連
東京都印刷産業政治連盟は6月30日、東京都議会議事堂で、「東京都の制度・施策説明と意見交換会」を開催し、東京都印刷産業議員連盟所属の都議会議員と東京都職員を交えて意見交換を行った。
東政連は都議会議員と連携し、印刷業界関連の課題解決に向けて、政策要望を実現するべく東京都へ働きかけている。その活動を受けて印刷産業振興対策や中小企業への金融支援などが実施されている。今回は東京都の金融支援や助成制度の活用、入札制度の動きに対する理解を深めるために、意見交換会を開催することとなった。意見交換会では、東京都職員から、東京都の印刷請負契約の状況が解説されたあと、新たな入札制度として試験運用されている「総合評価方式による契約」の評価項目などを説明。「新・経営力向上TOKYOプロジェクト」や「グループ戦略策定・展開支援事業」「BCP策定支援事業」などの事業が紹介された。
通信教育に新コース ◆JAGAT
日本印刷技術協会は、通信教育の新コース「考えるデザイン講座~説得力は企画力」を開講した。印刷会社のデザイナー、DTPオペレーターはもとより、プランナー、企画ディレクター、企画営業担当者など、ビジネス現場でデザインに携わるすべての人のために作られた訓練講座。また、JAGAT通信教育では既存コースの随時改訂を進めているが、今年3月の「印刷営業の受注力UP」改訂を続き、4月に「カラーマネジメント 基礎と実務」をリニューアル開講している。「考えるデザイン講座~説得力は企画力」はクライアントの要求をどう理解し組み立てデザイン表現するか、そのプロセスの論理的な考え方や基本ルールを実践的に学ぶことできる。
新理事長に青木氏 ◆全印健保
全国印刷工業健康保険組合は、6月23日、第156回組合会を開催し、任期満了に伴う役員改選で、新理事長に青木宏至氏(㈱精興社)を選出した。全印健保は、厳しい財政運営などを背景に、平成27年度から全国の印刷健保組合が廃止され、協会健保へ移管。関東支部を含む本部機能のみを残す形での運営が進められる。それに伴い議員定数も62人から30人へ、理事定数は30人から14人へと削減し、議員及び理事は本部からの選出となる。選挙区も6選挙区から1選挙区に変更されている。
子育てノートを制作 ◆野毛印刷社
野毛印刷社では、iPhoneを使って子育てを楽しく記録する「子育てノート」の制作、販売を開始した。「子育てノート」は、子育ての記録として日々書き込んだ日記とともに、スマホで撮った写真や動画、録音した声などを記念に残したいというママの声から誕生した商品。楽しみ方は、専用アプリをダウンロードし、添付されている専用レンズをスマートフォンのレンズに装着。アプリから機能を選択していくとノートに記録した内容とリンクできる。記載しているノートの項目からリンクした内容をいつでも見たり、聞いたりすることが可能で、ブログやFacebook、ツィッターなどにも連動できるので、使う人それぞれに楽しみながら子供の成長を記録できる。ノート3冊と専用レンズで3,000円(税別)。
印刷資材の検査業務を効率化 ◆大日本印刷
大日本印刷はこのほど、印刷資材の受入検査業務の画像照合を効率化、校正を行える「印刷物検査システム」を開発した。同システムは、DTPデータから抽出した校正用PDFデータの修正前と修正後の状態を照合し、相違箇所を表示する。照合に必要な原稿の位置合わせはシステムが自動的に行い、誰でも簡単でスピーディーに照合できる。これにより、従来は目視で行っていた修正箇所の照合作業が大幅に効率化されるとともに、修正漏れや不良箇所の削減にもつながる。
総合印刷機材展が盛況 ◆姫路モトヤ
姫路モトヤ主催の「姫路モトヤ総合印刷機材展2014」が7月25日、26日の両日、兵庫県明石市の明石市立産業交流センターで開催された。テーマは「モトヤ実践印刷道~業界の風を感じ、人を動かし、地域に力を!」。兵庫県印刷業が"地域活性化"を軸に、全印工連が発行した「印刷道」の6類型の一つ、「地域活性プロモーター」となるため、同展示会を通じて「地域イノベーションハブ」としての試みを実践した。
紙工機械事業部を新設 ◆D.I.C
デジタルイメージングコーポレーションは6月21日付で紙工機械事業部を新設し、箔押し機、打抜機等の製造保守・修理事業を開始した。これに伴い同社は営業及び技術スタッフを増員し、埼玉県鶴ヶ島市に工場・倉庫を開設した。
▽紙工機械事業部=東京都中野区弥生町3-24-1-102▽工場・倉庫=埼玉県鶴ヶ島市脚折町5-15-27
二期連続の増収増益 ◆コニカミノルタBS
コニカミノルタビジネスソリューションズは6月23日、東京都中央区の本社で記者会見を開き、2013年度の業績と2014年度の事業展開を説明した。2013年度の業績は二期連続の増収増益を達成。A3カラー機は台数ベースで前年比108%、デジタル印刷関連であるPP(プロダクションプリント)機の販売台数は同116%と大きく伸びた。また、ソリューション関連の売上もXP特需などで123%と大幅増となった。
組織活性化で移転 ◆コニカミノルタBS
コニカミノルタビジネスソリューションズは8月18日付で本社を移転し、国内営業力強化に向けて業務を開始する。同社は、複合機やプロダクション・プリンティング機などの情報機器および関連ソリューションの国内販売会社として機能している。今回の本社移転により、社内のコミュニケーション活性化による組織対応力強化や働き方を大きく変革させるオフィスづくりを通じ、顧客のビジネス革新を支援する幅広いソリューションをこれまで以上に提案できる体制を整えていく。新オフィスでは、企業内のデータファイルを統合的に管理するECMの導入やクラウド、モバイルの徹底的な活用による営業・業務活動の最適化・効率化などを実践しながら、新しいデジタルワークフローサービスを提案していく。
ワークフローのセミナー開催中 ◆大日本スクリーン
大日本スクリーン製造とメディアテクノロジージャパンは、6月24日の東京を皮切りに、全国各地で「トレンドセミナー2014」を開催している。セミナーでは「Pr!nt the Difference~変わろう。印刷ビジネスのオンリーワンへ~」をテーマに、最新のワークフロー関連のトレンドを提案。ワークフローシステム「EQUIOS PT-R Ver3.0」を紹介している。
インクジェット技術を紹介 ◆EFI
イー・エフ・アイは6月24日、東京都品川区北品川のミマキエンジニアリング東京支社を会場に「EFI Inkjet Summit Asia Pacific 2014」を開催し、環境対応のインクジェット技術や最新アプリケーションを紹介した。インクジェットセミナーは、「グリーン(環境に優しい)インクジェットテクノロジー」、「マルチレイヤー(多層印刷)の活用方法とインクテクノロジー」、「最先端、最新のアプリケーション(用途例)のご紹介」、「実物サンプルでの紹介」の4部構成で、EFIのソリューションを解説した。
スマートチャージを開始 ◆エプソン販売
エプソン販売は8月21日から、機器・インク・保守サービスを月額1万円からの定額料金で利用できる「エプソンのスマートチャージ」の提供を開始する。「スマートチャージ」はプランに応じて定額で同社のオフィス用プリンタを使用できるサービス。機器構成でカセット2段利用+保守サービスの「ベーシック」とカセット4段+キャビネット利用+保守サービスの「フルセット」の2タイプを用意。さらにそれぞれ、モノクロ中心に印刷する「スタンダード」とカラー中心の「フルカラーセット」の2つのプランに分かれる。ベーシックの「スタンダードB」プランは、5年契約で、月基本印刷枚数がモノクロ2,000枚、カラー600枚(片面で1枚換算)まで利用でき、超過従量料金がモノクロ1.5円、カラー5.0円(税別)。「フルカラーB」プランはモノクロ、カラー合計で1,000枚。超過従量料金が一律5.0円(税別)で、両プランとも月額1万円(税別)で利用できる。