五千円がよりユニバーサルデザインに

ホログラム透明層の形状を拡大

印刷業界では誰でも使いやすい印刷をはじめとする情報媒体の提供を目指し、メディアユニバーサルデザインの取り組みが進んでいるが、このほど財務省、日本銀行、独立行政法人国立印刷局は、目の不自由な人たちにとって日本銀行券がより使いやすいものとなるよう、五千円券を改良した。また、日本銀行券4券種の券種識別機能をスマートフォンのアプリケーションとして開発する。
新五千円券は、表面の左下に貼付しているホログラムの透明層(光沢性のある透明シール)を拡大するとともに形状を変更している。あわせて記号および番号の印刷色を黒色から褐色(暗い黄赤)に変更した。この改良は、ATM等の現金取扱機器への影響を最小限に抑えつつ、ホログラムの透明層の触感がその他の印刷面と異なることを利用して、券種の識別性を向上させる取組み。五千円券の寸法、模様等に変更はない。
「ホログラムの透明層」とは、五千円券と一万円券のホログラムにおける光沢性のある透明シールで、触感が印刷面と異なる。日本銀行券は識別マークの形状で札が識別できるが、これまでホログラム透明層の大きさ・形状は五千円券と一万円券とで同じだった。今回の改良で、目の不自由な人たちが日本銀行券の券種をより識別し易いようにした。
また、国立印刷局は、携帯電話に搭載可能な日本銀行券の券種識別アプリを開発・提供する。現在発行されている日本銀行券4券種の券種識別機能をスマートフォンのアプリケーションとして開発し、国民に無償で提供する。配布開始時期は本年度中。
財務省では将来の日本銀行券改刷が、目の不自由な人たちにとっての券種の識別性の大幅な向上につながるものとなるよう、関係者からの意見聴取、海外の取組み状況を調査していくという。

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