古書をオンデマンドで販売
1人暮らしのお年寄りに充実した生活を提供
電子出版事業を行っているインプレスR&Dでは、国立国会図書館(NDL)が所蔵する古書コンテンツをプリント・オンデマンド(POD)で印刷・製本したものを、アマゾンと三省堂書店オンデマンドで販売する「NDL所蔵古書POD」を開始した。
POD本として制作されるのは、国立国会図書館が所蔵し、近代デジタルライブラリーとしてWeb公開している著作権が満了したパブリックドメイン・コンテンツ。制作にあたっては、当時の著者や発行社、その関係者に敬意を表して、できる限りそのままの内容で整形する方針。
具体的には、インプレスR&Dが、近代デジタルライブラリーが提供しているコンテンツのスキャニングデータ(画像)を、印刷・製本可能なページデータに整形して、Amazon.co.jpと三省堂書店がPODで印刷・製本し、販売する。そのため装丁は原作どおりにはいかないが、本文などはスキャニングデータが使われている。
「NDL所蔵古書POD」の第1弾作品リストをみると、1885年発刊の岡敬孝著「古今相撲大要」1,504円、1908年に発刊の新渡戸稲造による有名な「武士道」2,991円、1933年に発刊した中央気象台編集の「三陸沖強震及津浪報告.昭和8年3月3日」4,177円、面白いところでは大阪出版社による「最新活版印刷業案内」2,705円など。当時のままの文字や漢字などからは、全体として発刊当時の世相や時代が感じられる。
現在、NDLの近代デジタルライブラリーに登録されているパブリックドメイン古書は約35万点。インプレスR&Dでは引き続きPOD書籍の点数を増やし、歴史的に貴重なコンテンツがより多くの人の目に触れることを目指す。今後は、どのようなブックコンテンツを作品化していくかも売れ行きの良し悪しを握る鍵となりそうだ。