地域づくりで小冊子
湊川の魅力伝え、ファン掴む
印刷業の役割の一つとして、地域のハブとなった街づくり支援が挙げられる。地場産業として長年培ってきた"信頼"という土台は、印刷業の新ビジネスや既存深耕の大きな武器になる。地域活性と印刷物が結びついた事例として、神戸・湊川地区の取り組みがある。
兵庫県神戸市の湊川手しごと市実行委員会は、神戸湊川の魅力を詰め込んだ小冊子『神戸湊川 暮らし上手』を制作した。
これまで湊川地区では、スポット的な店舗紹介はあったが、日常的に商品の動きが激しいため、一般向けにまとまった情報を提供することが困難だった。そのため、市場や地区の魅力が近隣の限られた人にしか伝わっていなかった。そこで同委員会は新たな「湊川ファンづくり」の一環として小冊子の制作に着手した。
『神戸湊川 暮らし上手』は、暮らしを豊かにする"暮らし上手"をコンセプトに、商店街として神戸最大の店舗が集まる神戸新鮮市場から"手仕事""目利き"にこだわった選りすぐりの店舗を紹介している。また、神戸新鮮市場が"神戸の台所"と言われる由来や、知られざる魅力、新スポットなども掲載。25歳から45歳くらいの女性層をメインターゲットに共感度の高い情報、デザインでまとめている。仕様はA5判、36ページで、1万部制作している。
湊川手しごと市実行委員会は、まち再生コンサルタントの古田篤司氏が企画プロデュースし、湊川地区の地域づくりの一環として、湊川公園で毎月第4土曜日に「湊川公園手しごと市」を開催している。活動開始から1年半が経過し、毎回出展者数が100から150店舗、約3千人から4千人が来場する規模にまで成長している。
なお、同冊子は、湊川公園手しごと市当日に、会場で「湊川ファン登録」を行った来場者に配布している。