ベストプラクティス企業からデジタル印刷活用を読み解く

印刷業界におけるデジタル印刷に関する調査(平成25年度)アンケート結果報告

日本印刷産業連合会のデジタルプレス推進協議会は、「印刷業界におけるデジタル印刷に関する調査(平成25年度)アンケート」を実施し、その結果報告会を開催した。デジタル印刷市場調査は、これまで全体的な統計を取った上で、平均値を抽出するものだったが、事業規模の大小の差で調査項目の数値が大きく左右されるため、正確な分析が困難だった。そこで今回は、A4換算でモノクロ出力が月10万頁、カラー出力が月5万頁以上の企業を上位グループ(ベストプラクティス企業)として、全体集計との比較から、デジタル印刷市場の動向を分析した。
同調査によると、印刷物の品目に関しては、上位グループ、全体平均共に大きな違いがなく、パンフレット・ポスターが一番多く、次いでチラシ、カタログと続いた。
デジタル印刷機に関しては、上位グループが生産能力の高いデジタル印刷機を導入することで、大ロットのプリントボリュームに対応している。
稼働率は上位グループの55%が週5日の稼働日数だが、週1日から3日稼働という回答も45%だった。ボリュームに対する稼働日数から考えると、納期が定期的に集中する品目を受注している結果が現れている。収益状況は、上位グループでも「儲からない」という回答が1割を超える。その要因としては顧客からのコストプッシュと納期集中により、稼働率が上げにくいことが挙げられる。
「売上高が1位」のデジタル印刷物は全体集計、上位グループともに商業印刷。とくに上位グループは「個人別対応」テキストから、「多品種大量」教材出版なども含めて、専用システム化、インライン化された生産システムによるビジネスを展開している。大規模な設備投資を伴うケースもある反面、短期契約で応えなければならない側面もあると思われる。

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