iPadでPOPが簡単に作れるアプリ

コモディティー化が進む印刷物の制作

どこからがプロフェッショナルの領分で、どこまでがアマチュアの領分なのか。印刷物の製造の差別化要素がなくなった原因は、デジタル化とオープン化と言われている。今や数万円でパソコン1台とプリンター1台を揃えれば、様々な印刷物が制作できてしまう時代になった。
レイン・バード株式会社は、スタンプのようにパーツを配置するだけで店舗のPOPを作ることのできるiPadアプリ「POPKIT(ポップキット)」の配信を開始した。利用料は無料である。
同アプリは、プロのデザイナーやクリエイターが作ったテンプレートを選び、POPを作成するもので、デザインセンスに自信がなくても、スタンプ感覚で簡単にプロのような仕上がりが得られるという。画像作成・編集のための特別なソフトも不要で、パソコンが苦手でも店舗を賑やかに演出することができる。
操作も簡単で、店主やスタッフは隙間の時間を制作に費やせる。アプリで提供されるので、コンテンツは随時更新。自分で撮影した写真やカメラロールの画像をパーツとして登録、配置も可能である。印刷はWi-Fi対応のプリンターで行う。
無料でデザインが使えてしまえば、小規模小売店や飲食店で、印刷会社への発注がほとんどいらなくなるかもしれない。簡単に作れるが品質に満足がいかない、他の店舗と差別化したいのでユニークなデザインにしたい、または大量に印刷しなければならない、など特別な理由がある場合を除いて、簡単な印刷物は自分で作ってしまう。
これまで印刷業界がこれら小口の需要を見過ごしてきたのは事実。シールや名刺にしても専用の台紙が量販店で揃えられる。その流れは変えられないだろう。万人が印刷物が作れる時代。印刷会社の独自性がますます問われてくる。

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