朝の読書で心養う
10代の9割が"朝読"経験者
2013年現在、"朝の読書"を実施している学校は全国で2万7,800校を超えており、970万人の小・中・高校生が"朝の読書"を行っているという。朝の読書推進運動がスタートしたのが1988年。朝の読書推進協議会の事務局を務める株式会社トーハンでは、朝の読書を中心とする学校時代の読書体験を問うアンケートを実施した。
アンケートによると、"朝の読書"経験者に占める割合は、小学校が68%、中学校が56%、高校が17%で、小・中学校で朝の読書を経験している人が多い。年代別では、朝の読書経験者は10代が93%、20代は67%となっており、朝の読書を実施する学校が急速に増加した2000年以降の動きとリンクしているのがわかる。
朝の読書で読んだ本で思い出に残っている作品については、「ハリ・ポッター」シリーズや「赤毛のアン」「シャーロック・ホームズ」「モモ」、あるいは「かいけつゾロリ」「バッテリー」など国内外のロングセラー作品が多くみられる。加えて、昨年、学校図書館の閲覧制限などで注目を集めた「はだしのゲン」なども入っている。著者別では、夏目漱石、江戸川乱歩、星新一など、世代を超えて親しまれている作品が多い。
また朝の読書によって、学力向上や生活面での落ち着きが得られるといった効果も寄せられているのも注目できる。学校側では単に読書を推奨するのではなく、感想文大会や読書マラソンの実施などを行っているクラスも多い。生徒も「読み聞かせをしてくれるのが楽しみだった」「関連した施設に連れて行ってくれた」など良い思い出として印象づけられているようである。今回のアンケート結果からは、"朝の読書"習慣が教師とのコミュニケーションにはじまり、心の豊かさを育む土台づくりに役立っていることが伺える。