多チャンネル化を指向するメディア業界

ナレッジプロバイダへの脱皮図る

近代印刷発祥の地であるドイツでも、メディア業界のクロスメディア化が進んでいるようだ。メッセ・デュッセルドルフの『欧州印刷業界 NEWS 2013年2号』によると、「インターネットの普及により、メディアに対する考え方に変化が見られるなか、出版社、新聞社などのメディア企業がどう対応するかは、その企業の存続にも影響を与えるもっとも重要なポイントである」と述べている。
同ニュースでは、ドイツをはじめ、欧州のメディア企業は、急速に進む社会のデジタル化の中でとっている対策として、ニュース配信企業の側面だけでなく、「多チャンネル」を駆使した“ナレッジプロバイダへの脱皮”を指摘。ドイツのハンデルスプラットグループの、スマートフォン向けアプリの導入と研究所の設立、会議・イベント開催にも力を入れている例を挙げている。また、ベルテルマン・グループに属するグルーナー・ヤール社が今年4月に取締役の構成と任務を変更し、事業ごとの担当を決定する戦略展開を紹介している。
国内のメディアは日本経済新聞社が優良のニュース配信をはじめ、セミナーやイベント開催にビジネスを拡大し、紙の新聞以外の多チャンネル化を展開。その他、大手メディアでも徐々にメディアの多様化への対応を図りつつある。一方、最も重要な収益面での課題を残しており、今後、各チャンネルの相乗効果で利益を生み出せるかがポイントになってくる。
ちなみに日本でも情報を無料提携するハフィントン・ポストは、ドイツでフォーカス紙と提携し、今年中にドイツ版の配信をスタートする。情報は全て無料で、収入は広告のみ。配信する情報のほとんどがブログなどをもとにしているという。収益モデルの確立までもうしばらくメディア業界の試行錯誤が続きそうだ。

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