業界の動き【2013年7月】
ばく露防止で要望書 ◆日印産連
一般社団法人日本印刷産業連合会は5月31日、日本化学工業協会と印刷関連洗浄メーカーに対し、「印刷業界における化学物質ばく露防止策推進のための洗浄剤等の改善のお願い」を提出した。昨年の有機溶剤による健康障害問題を受け、日印産連は去年7月に労働衛生協議会を設立。労働衛生セミナーの開催や「健康障害防止対策基本方針」の発表、「健康障害防止対策パンフレット」の配布など、各印刷事業所の健康障害防止対策推進に向け、活動を展開してきた。一年間の活動成果として、各印刷事業所が使用している洗浄剤等の危険有害性の情報が十分ではないこと、有害性の低い洗浄剤等の入手が困難であることが判明し、要望書提出に至った。
新産業ビジョンの骨子固まる ◆全印工連産業戦略デザイン室
全日本印刷工業組合連合会の今年度第2回産業戦略デザイン室が5月28日に開かれ、今年10月4日、東京ビッグサイトで開催の全印工連フォーラムで発表する「印刷産業ビジョン」の骨子が固まった。日本の景況と印刷産業の今後10年の予測、クライアントの意識調査、印刷100年企業研究を土台として、顧客の業務プロセス(課題)に対し、印刷会社が提供できるソリューションを提示。「ソリューションプロバイダー」に進化していくロードマップをまとめる。
用紙利用でアンケート ◆全印工連
全日本印刷工業組合連合会はこのほど、経済産業省紙業服飾品課から「製紙メーカーおよび流通業者サイドは用紙を扱うエンドユーザーや中小印刷会社の用紙に対する意見・要望をもっと把握すべきである」との意向を受け、全組合員を対象に印刷用紙に関するアンケート調査を実施している。アンケート調査では、印刷用紙の使用量の推移、輸入紙の利用状況、メーカー・流通に対する要望を集約する。紙業服飾品課は全印工連のアンケート調査結果を受け、ユーザーからの意見として、印刷用紙の生産、流通の改善に役立てていく。
断裁作業者の労安意識向上へ ◆千葉工組・ジャグラ千葉
断裁機作業の労働安全意識を高めるための「断裁作業者特別教育カリキュラム」が全国で実施されている。千葉県印刷工業組合と日本グラフィックサービス工業会千葉県支部は6月13日、ちば印刷団地内の弘報社印刷で「紙断裁作業者教育カリキュラム」を開催した。千葉県下から約80名が参加し、職場における労働者の健康と安全を確保するとともに、快適な作業環境をつくることを目的に、労働災害の防止について総合的、計画的な対策を推進することを定めた労働安全衛生法に基づき、断裁作業者の学科教育、翌日に実技教育を行った。
新会長に北島元治氏 ◆電流協
電子出版制作・流通協議会(電流協)は5月20日に開いた第3回定時総会で新会長に大日本印刷常務取締役の北島元治氏を選任した。電流協は2010年に電子出版制作から流通を整備する目的で関係企業が電子出版市場の発展を目指して大手印刷会社、出版社、ベンダー各社により設立され、現在131社が加盟。電子書籍制作のマニュアル化を検討する「電子書籍制作マニュアル編集部会」や「オンデマンド制作流通研究部会」を設けて制作から流通における総合的な環境整備のあり方を研究している。また「デジタル絵本研究部会」を設けて市場創出をサポートする事業を展開している。
年賀状シンポ盛況に ◆日本郵政
日本郵便は6月27日、東京・有明の東京ファッションタウンビルで、「年賀状シンポジウム―文化、ビジネス、技術の接点を探る―」を開催した。年賀状シンポジウムは、年賀状の利用拡大に向け、年賀状関連業界との連携を強化する一環として開催。年賀状の将来に向けた取り組みに関する講演会などを行った。
防護マスク義務化へ ◆厚労省
厚生労働省は6月4日に開催した「印刷事業場で発生した胆管がんの業務上外に関する検討会」で、化学物質を使った事業所で洗浄や拭き取り作業の際に、防護マスクの着用や作業場の排気装置の取り付けを会社側に義務付ける方針を決定した。今回の決定を受けて厚労省は今後、労働安全衛生法の規則を改正し、来年1月の施行を目指す。
共同受注をスタート ◆新宿連絡協
新宿区印刷・製本団体連絡協議会は4月1日付けで、一般社団法人新宿区印刷・製本関連団体協議会を設立し、共同受注の任意団体としてスタートした。新宿区からの後押しを受けて、地場を生かした受注窓口として機能することが期待されている。新宿区は、都庁をはじめとする副都心エリアを抱え、国立競技場や代々木体育館など都民だけでなく全国から人が集まる公共施設の拠点も多い地区。しかし、区内の印刷会社の状況は全国の印刷産業と同様、市場縮小が懸念材料の1つであり、区内の官公需の半分は他地域の企業が入札しているのが現状。